2015年11月23日
C&Rの休日
11月後半の3連休は納竿会を兼ねて釣友達と箒川のC&R区間に出かけた。毎年1、2回、晩秋の頃と渓流解禁前の3月の頃に訪れるのが常となって久しい。
今年は9月の北関東豪雨で、ここ箒川上流域もかなりの増水に見舞われたらしい。川の流れも若干変わったとのこと、そしてかなりの魚が下流に流されたことと思う。それでも地元漁協の努力にと熱心な放流によって、災害以前と比べても遜色のない状況にもどっているとの話を聞いた。
さて、この時期朝早くは寒いので8時頃に現場に着くと、意外に暖かい気温にすこしびっくりした。やっぱり今年は暖冬なんだなと思った。友人の一人はもう到着していて、釣りを始めていた。聞くと、朝からかなりの好反応ですいぶん数も釣ったとのこと。今日はあたり日かなと、いそいそと釣りの準備をしていたら、もう一人の友人も到着した。友人が釣っていたゼネラルのスタンド前のポイントに入れてもらう。
友人のお薦めは16番くらいのビーズヘッドニンフを使ってのルースニングだったが、最初は敢えてドライのミッジで狙ってみた。しばらくして1本だけ尺クラスのレインボーがヒットしたが、やはり反応はよくなかった。それではと、自分も16番のビーズヘッド・ヘアーズイヤー・ナチュラルでのルースニングに変更。やがてあたりが出だした。
1本目のヒットはいきなり50cmオーバーがヒット、しかもいつもよりかなりよいコンディションのレインボーで、5番のロッドでもなかなかよってこない。数分のファイトの後ようやく取り込みに入ったところで、残念ながらブレイク。しかし、かなりエキサイティングなやりとりを楽しませてもらった。その後も飽きない程度にいい状態のレインボーがヒット、40cmクラスの魚はとくにいいファイトで楽しませてくれた。
この日お天気は晴れで気温も暖かかったのだが、10時頃になると、だいぶ風が出てきた。ルースニングなのであまり影響はないのだが、やっぱりキャスティングがいまいち気持ちがよくない。また、この時間になるとだいぶ魚もスレてきたのか、あたりはだんだんに渋くなった。
駐車場でお昼を食べて、午後は3時頃まで釣りを楽しんだ。ヒット数はだいぶ少なくなったがそれでも、時折いいサイズのレインボーがロッドをしならせてくれた。
今年は、いつまでこの暖かさが続くのか分からないが、小さなサイズのビーズヘッドニンフを使ってのルースニングならまだまだ楽しめそうな雰囲気だった。
ビーズヘッドヘアーズイヤー・ナチュラル
今年は9月の北関東豪雨で、ここ箒川上流域もかなりの増水に見舞われたらしい。川の流れも若干変わったとのこと、そしてかなりの魚が下流に流されたことと思う。それでも地元漁協の努力にと熱心な放流によって、災害以前と比べても遜色のない状況にもどっているとの話を聞いた。
さて、この時期朝早くは寒いので8時頃に現場に着くと、意外に暖かい気温にすこしびっくりした。やっぱり今年は暖冬なんだなと思った。友人の一人はもう到着していて、釣りを始めていた。聞くと、朝からかなりの好反応ですいぶん数も釣ったとのこと。今日はあたり日かなと、いそいそと釣りの準備をしていたら、もう一人の友人も到着した。友人が釣っていたゼネラルのスタンド前のポイントに入れてもらう。
友人のお薦めは16番くらいのビーズヘッドニンフを使ってのルースニングだったが、最初は敢えてドライのミッジで狙ってみた。しばらくして1本だけ尺クラスのレインボーがヒットしたが、やはり反応はよくなかった。それではと、自分も16番のビーズヘッド・ヘアーズイヤー・ナチュラルでのルースニングに変更。やがてあたりが出だした。
1本目のヒットはいきなり50cmオーバーがヒット、しかもいつもよりかなりよいコンディションのレインボーで、5番のロッドでもなかなかよってこない。数分のファイトの後ようやく取り込みに入ったところで、残念ながらブレイク。しかし、かなりエキサイティングなやりとりを楽しませてもらった。その後も飽きない程度にいい状態のレインボーがヒット、40cmクラスの魚はとくにいいファイトで楽しませてくれた。
この日お天気は晴れで気温も暖かかったのだが、10時頃になると、だいぶ風が出てきた。ルースニングなのであまり影響はないのだが、やっぱりキャスティングがいまいち気持ちがよくない。また、この時間になるとだいぶ魚もスレてきたのか、あたりはだんだんに渋くなった。
駐車場でお昼を食べて、午後は3時頃まで釣りを楽しんだ。ヒット数はだいぶ少なくなったがそれでも、時折いいサイズのレインボーがロッドをしならせてくれた。
今年は、いつまでこの暖かさが続くのか分からないが、小さなサイズのビーズヘッドニンフを使ってのルースニングならまだまだ楽しめそうな雰囲気だった。
ビーズヘッドヘアーズイヤー・ナチュラル
2015年11月09日
晩秋のレイクフィッシング
普段あまりレイクでの釣りはしないのだが、知人のプロフライフィッシャー白石健一さんにお誘いを頂き、11月初旬、白石プロのショップの釣会に参加させて頂いた。場所は群馬県の日光国立公園内にある丸沼、私にとっては初めてのフィールドだ。集合時間は朝6時30分とのこと、早朝4時に自宅を出発、2時間少々のドライブで丸沼に到着する。
もう既に、メンバーの方々は皆さん到着しておられて、出艇の準備をされていた。白石プロから紹介を頂き、早速釣りの準備をして、白石プロのボートにご一緒させて頂く。すっかり夜は空けているのだが、太陽はまだ白根山から続く山脈の向こうにあってあたりは影の中で、まだ遠くの景色は判然としていなかった。標高1,400m、しかも2、3日前からぐっと気温が下がったので、この朝もきりっと引き締まった寒さになった。深呼吸して、山の済んだ空気を胸いっぱいにすいこんだら、一気に目が覚めるような気持がした。
風はまったくなく、空は雲一つない快晴だ。我々はボートを出すと、鏡の様な湖面をモーターで進んだ。周りの山々はもう紅葉は終わり、落葉した広葉樹の白っぽい木々と針葉樹の緑のコントラストがきれいだった。魚釣りに来ているのだが、この素晴らしい景色を愛でているだけでもなにか満足したような気持になった。
この日の釣りはシンキングラインでストリーマーを引く釣りだ。対象魚はレインボーとまれにブラウン、イワナ。しばらくボートを沖にだして、さっそくキャスティング&リトリーブで探るが、どうもこの日は魚の反応が悪く、まったくアタリの無い状況が続いた。まわりのボートを見ても、皆同じような状況で、ロッドを曲げて魚とファイトする光景は見られなかった。
山々に遮られていた太陽がようやく顔を出したころ、白石プロにようやく待望のヒット、丁度移動の途中でハーリングをしていた時だった。型は小さいもののきれいなレインボーだった。それでは私もと意気込むものの、やはり状況は変わらず。ボートでぐると湖を一周するも、結局午前中はノーフィッシュに終わった。
昼食で集まって皆さんの結果を聞くが、やはり厳しい結果だったようで、白石プロを除くと4本ほどの釣果に終わった。最大は50cmほどのレインボーだった。
昼食後、ボウズは悔しいので、何人かの方々ともう少しだけ釣ることにする。午後になって少しずつ風も出てきて、少し寒さも気になりだしたころ、ようやく私のロッドにもヒット。40cmクラスのレインボーだったが、なかなかの引きで楽しませてくれた。
この日の釣りはこれで終了。白石プロのお薦めのタックルは6番タイプ3のシンキングライン(シューティングヘッド)に#12番前後のマラブー系ストリーマー。ちなみに私はマラブーリーチの#12を使用した。
マラブーリーチ・ブラウン
丸沼での釣りは11月末まで楽しめるが、私は今度はぜひ春の頃に訪れてみたいと思った。素晴らしい山々の景色の中、ゆったりとボートでのフライフィッシングというのもなかなかのものである。これからはもっとレイクでの釣りも楽しもうと思った。
もう既に、メンバーの方々は皆さん到着しておられて、出艇の準備をされていた。白石プロから紹介を頂き、早速釣りの準備をして、白石プロのボートにご一緒させて頂く。すっかり夜は空けているのだが、太陽はまだ白根山から続く山脈の向こうにあってあたりは影の中で、まだ遠くの景色は判然としていなかった。標高1,400m、しかも2、3日前からぐっと気温が下がったので、この朝もきりっと引き締まった寒さになった。深呼吸して、山の済んだ空気を胸いっぱいにすいこんだら、一気に目が覚めるような気持がした。
風はまったくなく、空は雲一つない快晴だ。我々はボートを出すと、鏡の様な湖面をモーターで進んだ。周りの山々はもう紅葉は終わり、落葉した広葉樹の白っぽい木々と針葉樹の緑のコントラストがきれいだった。魚釣りに来ているのだが、この素晴らしい景色を愛でているだけでもなにか満足したような気持になった。
この日の釣りはシンキングラインでストリーマーを引く釣りだ。対象魚はレインボーとまれにブラウン、イワナ。しばらくボートを沖にだして、さっそくキャスティング&リトリーブで探るが、どうもこの日は魚の反応が悪く、まったくアタリの無い状況が続いた。まわりのボートを見ても、皆同じような状況で、ロッドを曲げて魚とファイトする光景は見られなかった。
山々に遮られていた太陽がようやく顔を出したころ、白石プロにようやく待望のヒット、丁度移動の途中でハーリングをしていた時だった。型は小さいもののきれいなレインボーだった。それでは私もと意気込むものの、やはり状況は変わらず。ボートでぐると湖を一周するも、結局午前中はノーフィッシュに終わった。
昼食で集まって皆さんの結果を聞くが、やはり厳しい結果だったようで、白石プロを除くと4本ほどの釣果に終わった。最大は50cmほどのレインボーだった。
昼食後、ボウズは悔しいので、何人かの方々ともう少しだけ釣ることにする。午後になって少しずつ風も出てきて、少し寒さも気になりだしたころ、ようやく私のロッドにもヒット。40cmクラスのレインボーだったが、なかなかの引きで楽しませてくれた。
この日の釣りはこれで終了。白石プロのお薦めのタックルは6番タイプ3のシンキングライン(シューティングヘッド)に#12番前後のマラブー系ストリーマー。ちなみに私はマラブーリーチの#12を使用した。
マラブーリーチ・ブラウン
丸沼での釣りは11月末まで楽しめるが、私は今度はぜひ春の頃に訪れてみたいと思った。素晴らしい山々の景色の中、ゆったりとボートでのフライフィッシングというのもなかなかのものである。これからはもっとレイクでの釣りも楽しもうと思った。
2015年10月21日
秘渓ガンガラシバナへ
今年の渓流シーズンも終わりに近い9月中旬、友人と2人でかねてから訪れてみたいと思っていた川内・下田山塊の早出川源流へと出かけた。渓中2泊で釣りはもちろんのこと、日本の秘境とも称される、早出川源頭部の壮大なスラブの峡谷ガンガラシバナの雄姿をこの目に焼き付けて来たいと思った。
当初3人のパーティーで計画を進めていたが、直前になって友人の一人がどうにも外せない仕事の都合でキャンセルとなり、また台風の接近やら関東、東北を襲った集中豪雨の影響もあり、直前まで決行か延期かと迷ったが、奇跡的に川内・下田山塊周辺は降雨量もさほどではないことを地元からの情報で確認、出発を決めたのは予定日の2日前であった。
今回、出発は金曜の夜。福島、新白河駅で友人と合流し、高速を一路新潟へと走った。東北道から磐越道へ、1時間半ほどで高速を降り、一般道を室谷へと走る。予想より早く、2時間ほどのドライブで山越えの入山ポイントに到着する。いつものとおり軽く入山祝いのビールで乾杯、しばし歓談の後仮眠用のテントで横になる。しかし、この夜はなぜかよく寝付けず、結局明るくなるまで熟睡は出来なかった。
5時。手早くパッキングを済ませ、沢沿いにつけられた山越えへの踏み跡を辿る。踏み跡は沢の右岸、左岸を縫うようにつけられているが、いかんせんそれほど利用されておらず、次第に不明瞭になってゆく。途中からは沢をつめることにする。やがて沢は連瀑帯になり、みごとな滑滝などが続くが、どれも登れる範囲だ。最後にちょっと登れない直瀑が現れ、滝の手前右岸につけられた踏み跡へ逃れる。滝上からすぐに支流へと入り、やがて水流がなくなると15分ほどでようやく乗越の稜線へと出た。そこからは早出川源流の今早出沢に向けて一気に踏み跡を下り、小1時間ほどで今早出沢に辿りついた。ちょうどその場所がアカバ沢と今早出沢の出会いで、今早出沢の右岸に安全で快適なテン場があった。早速にタープを張り、2晩のベースを設営する。
初めてのルートでの山越えで、少々時間が掛かった。前夜の睡眠不足もあり、足腰にもだいぶこたえた。ゆっくりと昼食の握り飯を食べて休憩、午後はさっそく釣りに出かける。
ガンガラシバナを擁する今早出沢、そのすぐ下流となる本流筋の割岩沢とも岩魚釣り、沢登ではたいへん人気のある場所、今回も他パーティーとのバッティングを予想していたが、たぶん数日前の豪雨のためか、他にパーテイーは入っていない様だった。また、沢の水量もおそらく平水から10~15cm多いほどで、釣りには最高のコンディションに見えた。期待に胸を膨らませながら、パイロットフライのアダムス・パラシュート#12を結ぶ。
テン場付近はけっこう魚もスレているだろうと、少し先を急ぎながらキャストして行くと、いきなり9寸のいいサイズの岩魚がロッドを絞った。実に力強い引きで、ランディングした岩魚もなかなかにいいプロポーションだった。すぐに友人もほぼ同じサイズの岩魚をかけた。フライはロイヤル・トルード#12、やっぱりとてもよいファイトを見せていた。その後も魚は飽きない程度に我々のロッドをしならせた。気持ちの良い釣りだった。なにより沢を取り巻くスラブの山々のその景色が素晴らしかった。
その後もまずまずの釣りが楽しめたが、どうも岩魚は下流の方が数も多く型もよかったようだ。この日は3時半ごろまで竿を振って、テン場へと戻った。テン場まですぐのところまで来ると、アカバ沢から焚き火の煙が流れている。どうやら他にパーティーが幕営しているようだった。見れば、我々のテン場の直ぐ上流のアカバ沢の対岸に3人のパーティーが焚き火で夕食の準備をしている様子だったので翌日の行動の情報交換を兼ねてあいさつに行った。
男性1人女性2人の沢登のパーティーで、翌日はやはりガンガラシバナに行くと言う。釣りも少しするというので、今日十分釣りを堪能した我々は先行を譲ることにする。
さて、テン場に戻って、それぞれ焚き火、夕食の準備に勤しむ。辺りが暗闇に包まれる頃、真っ赤に燃え上がる焚き火の横で、この日はお好み焼きメインでの夕食。沢水で冷やしたビールで乾杯した。山越えとそれに続く釣りの疲れで、あっという間に酔いが回った。焚き火の横に銀マットを敷いて横になりながら飲む。至福の時間だ。明日は午後から雨になる予報だ。午前中にガンガラシバナに辿りつくペースで歩かなければならない。そんな話をしながら9時前にはシュラフに潜り込んだ。
朝、起きると空にはまだ晴れ間もあるもののだいぶ雲が多くなっていた。やはり、午後から天気が崩れるのだろう。朝食の準備をしているとおとなりのパーティーがあいさつにこられて、テン場を上流に上げるので早々に出発するとのこと、我々は釣りはほぼしないので、後から追いかけますと言って彼らを見送った。
朝食を済ませ、まだ少し湿ったズボンを穿く。それから濡れたソックスとウェーディングシューズを穿くのだが、毎度これだけはどうにもいい感じがしない。一応釣り具も持って、7時半ごろにテン場を出発する。昨日釣り上がったところまでは1時間ほどで辿りついた。それから15分ほど歩いたところで3人のパーティーが丁度テン場を設営してこれから出発するところだった。それでは一緒に行きましょうということで、我々は彼らの後をついていくことにする。
途中、ここぞというポイントで男性の方がテンカラ竿を振るが、どうもあまり反応がよくないし、釣れる岩魚もだいぶ型が小さくなっている。私も一か所で竿をだしたが、やはり釣れた岩魚は小ぶりだった。
ともあれ、今日のメインはガンガラシバナである。そらはどんどん雲が厚くなってくるし、我々も遡行のスピードを上げた。
遡行に専念すると間もなく、大きな釜をもつ見事な滝が2つ連続して現れた。どちらも右岸側を巻いて上流へと進む。その後、胸までのプールなどなかなかに楽しい行程をクリアして進むと、次第に周りの山々のスラブが顕著になってきた。もうガンガラシバナも近いと思いながら、ある谷間のかどを抜けると我々の眼前に偉大なる一大スラブのパノラマが広がった。
「ガンガラシバナだ!」
その雄大さ、スケール、まるで360度の巨大な岩のすり鉢の中心に立っているかの様な感覚。遥かに聳える稜線から魚止め大滝が350mの落差を駆け下りている。まさに神々しいという言葉がぴったりの絶景だ。初めてこの地に足を踏み入れた昔の人の目には、神が見えたかもしれない。
「このスケール感は写真では絶対に伝わらない」友人が呟いた。
この大滝の直下まで岩魚は生息している。しかし、ここまで来て我々はもう釣りはどうでもよくなっていた。ただただ、このガンガラシバナの圧倒的な景観にしばし見とれ、その感動を心に刻んだ。
しばらくして、だいぶ暗くなった空からポツリ、ポツリを雨粒が落ちてきた。さあ、帰ろう。本降りになったら全山スラブの早出川はあっと言う間に増水する。そうしたら、雨との追いかけっこだ。それでも、なんとかここまで天気が持ってくれて本当によかった。もしかするとガンガラシバナの神様が雨を降らさず僕達を待っていてくれたのかもしれない。そんなことを考えなが足早に今早出の沢を下った。
当初3人のパーティーで計画を進めていたが、直前になって友人の一人がどうにも外せない仕事の都合でキャンセルとなり、また台風の接近やら関東、東北を襲った集中豪雨の影響もあり、直前まで決行か延期かと迷ったが、奇跡的に川内・下田山塊周辺は降雨量もさほどではないことを地元からの情報で確認、出発を決めたのは予定日の2日前であった。
今回、出発は金曜の夜。福島、新白河駅で友人と合流し、高速を一路新潟へと走った。東北道から磐越道へ、1時間半ほどで高速を降り、一般道を室谷へと走る。予想より早く、2時間ほどのドライブで山越えの入山ポイントに到着する。いつものとおり軽く入山祝いのビールで乾杯、しばし歓談の後仮眠用のテントで横になる。しかし、この夜はなぜかよく寝付けず、結局明るくなるまで熟睡は出来なかった。
5時。手早くパッキングを済ませ、沢沿いにつけられた山越えへの踏み跡を辿る。踏み跡は沢の右岸、左岸を縫うようにつけられているが、いかんせんそれほど利用されておらず、次第に不明瞭になってゆく。途中からは沢をつめることにする。やがて沢は連瀑帯になり、みごとな滑滝などが続くが、どれも登れる範囲だ。最後にちょっと登れない直瀑が現れ、滝の手前右岸につけられた踏み跡へ逃れる。滝上からすぐに支流へと入り、やがて水流がなくなると15分ほどでようやく乗越の稜線へと出た。そこからは早出川源流の今早出沢に向けて一気に踏み跡を下り、小1時間ほどで今早出沢に辿りついた。ちょうどその場所がアカバ沢と今早出沢の出会いで、今早出沢の右岸に安全で快適なテン場があった。早速にタープを張り、2晩のベースを設営する。
初めてのルートでの山越えで、少々時間が掛かった。前夜の睡眠不足もあり、足腰にもだいぶこたえた。ゆっくりと昼食の握り飯を食べて休憩、午後はさっそく釣りに出かける。
ガンガラシバナを擁する今早出沢、そのすぐ下流となる本流筋の割岩沢とも岩魚釣り、沢登ではたいへん人気のある場所、今回も他パーティーとのバッティングを予想していたが、たぶん数日前の豪雨のためか、他にパーテイーは入っていない様だった。また、沢の水量もおそらく平水から10~15cm多いほどで、釣りには最高のコンディションに見えた。期待に胸を膨らませながら、パイロットフライのアダムス・パラシュート#12を結ぶ。
テン場付近はけっこう魚もスレているだろうと、少し先を急ぎながらキャストして行くと、いきなり9寸のいいサイズの岩魚がロッドを絞った。実に力強い引きで、ランディングした岩魚もなかなかにいいプロポーションだった。すぐに友人もほぼ同じサイズの岩魚をかけた。フライはロイヤル・トルード#12、やっぱりとてもよいファイトを見せていた。その後も魚は飽きない程度に我々のロッドをしならせた。気持ちの良い釣りだった。なにより沢を取り巻くスラブの山々のその景色が素晴らしかった。
その後もまずまずの釣りが楽しめたが、どうも岩魚は下流の方が数も多く型もよかったようだ。この日は3時半ごろまで竿を振って、テン場へと戻った。テン場まですぐのところまで来ると、アカバ沢から焚き火の煙が流れている。どうやら他にパーティーが幕営しているようだった。見れば、我々のテン場の直ぐ上流のアカバ沢の対岸に3人のパーティーが焚き火で夕食の準備をしている様子だったので翌日の行動の情報交換を兼ねてあいさつに行った。
男性1人女性2人の沢登のパーティーで、翌日はやはりガンガラシバナに行くと言う。釣りも少しするというので、今日十分釣りを堪能した我々は先行を譲ることにする。
さて、テン場に戻って、それぞれ焚き火、夕食の準備に勤しむ。辺りが暗闇に包まれる頃、真っ赤に燃え上がる焚き火の横で、この日はお好み焼きメインでの夕食。沢水で冷やしたビールで乾杯した。山越えとそれに続く釣りの疲れで、あっという間に酔いが回った。焚き火の横に銀マットを敷いて横になりながら飲む。至福の時間だ。明日は午後から雨になる予報だ。午前中にガンガラシバナに辿りつくペースで歩かなければならない。そんな話をしながら9時前にはシュラフに潜り込んだ。
朝、起きると空にはまだ晴れ間もあるもののだいぶ雲が多くなっていた。やはり、午後から天気が崩れるのだろう。朝食の準備をしているとおとなりのパーティーがあいさつにこられて、テン場を上流に上げるので早々に出発するとのこと、我々は釣りはほぼしないので、後から追いかけますと言って彼らを見送った。
朝食を済ませ、まだ少し湿ったズボンを穿く。それから濡れたソックスとウェーディングシューズを穿くのだが、毎度これだけはどうにもいい感じがしない。一応釣り具も持って、7時半ごろにテン場を出発する。昨日釣り上がったところまでは1時間ほどで辿りついた。それから15分ほど歩いたところで3人のパーティーが丁度テン場を設営してこれから出発するところだった。それでは一緒に行きましょうということで、我々は彼らの後をついていくことにする。
途中、ここぞというポイントで男性の方がテンカラ竿を振るが、どうもあまり反応がよくないし、釣れる岩魚もだいぶ型が小さくなっている。私も一か所で竿をだしたが、やはり釣れた岩魚は小ぶりだった。
ともあれ、今日のメインはガンガラシバナである。そらはどんどん雲が厚くなってくるし、我々も遡行のスピードを上げた。
遡行に専念すると間もなく、大きな釜をもつ見事な滝が2つ連続して現れた。どちらも右岸側を巻いて上流へと進む。その後、胸までのプールなどなかなかに楽しい行程をクリアして進むと、次第に周りの山々のスラブが顕著になってきた。もうガンガラシバナも近いと思いながら、ある谷間のかどを抜けると我々の眼前に偉大なる一大スラブのパノラマが広がった。
「ガンガラシバナだ!」
その雄大さ、スケール、まるで360度の巨大な岩のすり鉢の中心に立っているかの様な感覚。遥かに聳える稜線から魚止め大滝が350mの落差を駆け下りている。まさに神々しいという言葉がぴったりの絶景だ。初めてこの地に足を踏み入れた昔の人の目には、神が見えたかもしれない。
「このスケール感は写真では絶対に伝わらない」友人が呟いた。
この大滝の直下まで岩魚は生息している。しかし、ここまで来て我々はもう釣りはどうでもよくなっていた。ただただ、このガンガラシバナの圧倒的な景観にしばし見とれ、その感動を心に刻んだ。
しばらくして、だいぶ暗くなった空からポツリ、ポツリを雨粒が落ちてきた。さあ、帰ろう。本降りになったら全山スラブの早出川はあっと言う間に増水する。そうしたら、雨との追いかけっこだ。それでも、なんとかここまで天気が持ってくれて本当によかった。もしかするとガンガラシバナの神様が雨を降らさず僕達を待っていてくれたのかもしれない。そんなことを考えなが足早に今早出の沢を下った。
2014年06月05日
ユキシロの渓、テンカラ釣り
今年は関東地方では、何十年ぶりの大雪が降り、東北でも太平洋岸に例年にない積雪があった。少々時間が経ってしまったが先月のゴールデンウィーク後半に地元の友人たちと南蔵王の川へと釣行した。林道が川に沿っており、比較的入渓しやすい川だが、それでも蔵王というだけあってそれなりの山岳渓流。釣れるのは岩魚のみとなる。
毎年のことではあるが、この時期まだ林道が整備されておらず、大概入渓ポイントまで車で辿り着くのは不可能、残雪に道を阻まれるのが常となっている。今年も案の定、予定した入渓ポイントの3キロほど手前で歩きとなる。しかしながら、新鮮な山の空気を味わいながら、まだ芽吹きが始まったばかりの明るい林道を歩くのは存外気持ちが良い。今日の釣果を期待しつつ、自然と歩調も速くなる。ところで、この林道はだいぶ川からはれた高所を走っているのだが、時折見える川面の様子では、けっこうなユキシロが入っている状態のようだった。
40分ほど歩き、入渓点に到着する。午前9時、やはり予想していたより多くユキシロが入っていて、なかなか苦戦しそうな水況である。まあ、なんとか岸よりの緩流帯を釣ってゆけば、多少の釣果は得られるだろうと、とにかく入渓する。
友人達はもちろんフライだが、今回私はテンカラ釣りをチョイス。流れは太く、ポイントを探しながらの釣りだが、天気は快晴、暖かい日差しが十分に川に差し込んでいる。フライは全員ドライを結ぶ。
私のテンカラタックルは、3.6mの渓流には平均的な長さに、この日はロッドと同長の撚糸のテーパーライン、0.8号のハリスを1m、毛鉤はフライ用のドライ、アダムスパラシュートを結んだ。
ユキシロで水量が多いこんな状況での釣りだが、逆に考えれば狙うべきポイントが絞られ、釣りやすいとも言える。とにかく岸よりや大岩の後ろなど、ある程度水深が合って、流れの緩いところに毛鉤を打っていけばよい。
まず目をつけた大岩の後ろの巻き返しに毛鉤を打つ、1投目で岩の陰から岩魚がゆっくりと浮上してくる。この時期の魚は動きが遅い、あわてて早合わせにならないように、じっくりと合わせのタイミングを計る。岩魚がゆっくりと毛鉤を咥えて反転、ここで合わせを入れる。フッキング、今シーズン初めての岩魚の引きを味わう。長いのべ竿で感じる渓魚の引き味は格別である。まだ少しだけサビの残った岩魚を手繰り寄せ。やさしく流れに帰した。
それからは、友人たちと交代で釣り上がる。8寸から9寸強のいいサイズの岩魚がよく反応してくれた。
お昼近くなると、陽射しがだいぶ強くなって遡行していても汗ばむほどとなったが、上流に行けば行くほど河畔の残雪はその深さをましてゆく様だった。それでも、あと2週間もすれば、残雪もだいぶ消えて、山に新緑の広がる季節がやってくるだろう。そんなことを考えながら、友人たちの後を追った。
テンカラ釣りには伝統的な逆さ毛鉤やミノ毛など、水面直下を流す沈める毛鉤が使われますが、私のように時々テンカラもという方々には当ショップにて販売している完成フライを使っての釣りもお薦めです。また、今シーズン中にテンカラ用伝承毛鉤の販売も検討中です。
毎年のことではあるが、この時期まだ林道が整備されておらず、大概入渓ポイントまで車で辿り着くのは不可能、残雪に道を阻まれるのが常となっている。今年も案の定、予定した入渓ポイントの3キロほど手前で歩きとなる。しかしながら、新鮮な山の空気を味わいながら、まだ芽吹きが始まったばかりの明るい林道を歩くのは存外気持ちが良い。今日の釣果を期待しつつ、自然と歩調も速くなる。ところで、この林道はだいぶ川からはれた高所を走っているのだが、時折見える川面の様子では、けっこうなユキシロが入っている状態のようだった。
40分ほど歩き、入渓点に到着する。午前9時、やはり予想していたより多くユキシロが入っていて、なかなか苦戦しそうな水況である。まあ、なんとか岸よりの緩流帯を釣ってゆけば、多少の釣果は得られるだろうと、とにかく入渓する。
友人達はもちろんフライだが、今回私はテンカラ釣りをチョイス。流れは太く、ポイントを探しながらの釣りだが、天気は快晴、暖かい日差しが十分に川に差し込んでいる。フライは全員ドライを結ぶ。
私のテンカラタックルは、3.6mの渓流には平均的な長さに、この日はロッドと同長の撚糸のテーパーライン、0.8号のハリスを1m、毛鉤はフライ用のドライ、アダムスパラシュートを結んだ。
ユキシロで水量が多いこんな状況での釣りだが、逆に考えれば狙うべきポイントが絞られ、釣りやすいとも言える。とにかく岸よりや大岩の後ろなど、ある程度水深が合って、流れの緩いところに毛鉤を打っていけばよい。
まず目をつけた大岩の後ろの巻き返しに毛鉤を打つ、1投目で岩の陰から岩魚がゆっくりと浮上してくる。この時期の魚は動きが遅い、あわてて早合わせにならないように、じっくりと合わせのタイミングを計る。岩魚がゆっくりと毛鉤を咥えて反転、ここで合わせを入れる。フッキング、今シーズン初めての岩魚の引きを味わう。長いのべ竿で感じる渓魚の引き味は格別である。まだ少しだけサビの残った岩魚を手繰り寄せ。やさしく流れに帰した。
それからは、友人たちと交代で釣り上がる。8寸から9寸強のいいサイズの岩魚がよく反応してくれた。
お昼近くなると、陽射しがだいぶ強くなって遡行していても汗ばむほどとなったが、上流に行けば行くほど河畔の残雪はその深さをましてゆく様だった。それでも、あと2週間もすれば、残雪もだいぶ消えて、山に新緑の広がる季節がやってくるだろう。そんなことを考えながら、友人たちの後を追った。
テンカラ釣りには伝統的な逆さ毛鉤やミノ毛など、水面直下を流す沈める毛鉤が使われますが、私のように時々テンカラもという方々には当ショップにて販売している完成フライを使っての釣りもお薦めです。また、今シーズン中にテンカラ用伝承毛鉤の販売も検討中です。
2013年10月12日
朝日連峰遠征2
渓の1泊目はとにかくぐっすりと眠れる。夜間の移動で仮眠程度の時間しか寝ていないこと、ハードな山越えと釣り、当然と言えば当然である。しかし、それ以外にもともと山で渓流のせせらぎを聞きながら寝るということ自体が、人間にもとてもよい還元作用の様なものを与えてくれるのではないかと感じる。
6時に目が覚めると、友人はもうすでに起きていた。少し肌寒い気温に、そそくさとたき火の燃え残りに火をつけ深呼吸をする。山の朝は最高である。
朝食は簡単なパンなどで済ませると、もう誰もがそわそわとしだす。今日は、昨日釣った本流ではなく、途中から合流する支流に入ることとする。7時すぎ、すっかりと準備を整えテンバを出発する。
支流に入るとしばらくゴルジュが連続する。滝の落ち込み、だいぶ水深のある、普通ならとても水面の小さなフライには反応しないようなポイントで、早速友人が尺物を釣りあげる。今日も釣りは最高のスタートで始まった。
今日は、午後からもしかすると雨になるかもしれない予報だったが、朝方は薄日のさす気持ちの良い天候だ。しばらくアクロバティックなへつりを交えてゴルジュを突破すると、林間を流れる穏やかな渓相へとかわる。以前この沢に入った時は、尺物がかなり出たのだが、どうも今回は9寸止まりが多い。それでも、コンスタントに魚が出るので、釣りとしては満足だ。
昨日から、自分はアダムス・パラシュートをメインで結ぶ。魚の反応は文句なしである。友人は、大き目のライツロイヤルでやはりコンスタントに釣ってゆく。時折エルクヘアーカディスを使ってみるが、どうもこの渓では反応がいまいちである。
お昼まで釣り上がり、だいぶ水量も少なくなってきた。きれいな河原で昼食とする。めいめいにお湯を沸かしラーメンなどを作る。そして食べたらそのまま河原に寝転がる。最高の気分だ。
でも、天気予報があたるのか、見上げる空にそろそろ厚い雲が広がりだした。
午後、1時間ほど釣り上がると、源流方向の山にかかる雲がだいぶ暗くなってきた。釣りは、もう皆十分に満足していたので、速めにテンバへと戻ることにした。
1時間半ほどかけてテンバに戻ると、友人2人は夕食の刺身を釣りに行くと言って、また昨日の本流へと出かけて行った。小一時間もタープの下でうとうとしていたら、尺クラス3本を携えて友人が帰ってきた。今日は美味い刺身が味わえそうだ。
しかし、そうこうしているうちに、ポツリポツリと雨がタープをたたきだした。夕刻、しかたがないので、今日はタープの下で宴会を始める。それでも、友人が捌いてくれたイワナの刺身は最高だった。苦労して持ち込んだビールが進む。明日はまた山越えなので、酒も食料もどんどん消費する。飯盒でご飯を炊いてメインはカレー。昨晩の残りのおつまみなども消費したいたら、もうおなかは一杯である。
今日は、だいぶ睡眠時間も取っているので、夜になってもぜんぜん元気だ。しかし、先ほどから雨は本降り、川はまだ濁りは出ていないものの、明日の撤収と、最後の歩渡が心配になってくる。歩渡用のロープを持ってきているので、よほどのことがなければ大丈夫だろう。10時前には横になる。
雨は夜中降っていたようだ、川もだいぶ増水しているようで、流される大石が水中で不気味な音をたてている。雨はだいぶ落ち着いてきたので、明るくなると同時に撤収。朝食も済ませ、6時過ぎには早めにテンバを出発する。このころには川の水も減水傾向になって、すこし安心する。
帰路、まずは殺人的な登りをなんとかこなし、森の中の踏み跡を行く頃には、もう雨もほとんどあがってきた。最後の下りを一気に降りきり、いよいよ歩渡ポントへと辿り着くと、川はまだ結構な濁流である。それでも比較的渡りやすそうな場所で、まず私が先方でロープ歩渡すると、なんなく対岸へと渡ることが出来た。その後友人達も続き、無事車止めへと帰ることが出来た。
さて、今回の釣行は、最高の釣りと楽しい渓の宴会を満喫し、最後にちょっとアドベンチャーな経験もして、また心に残る釣り旅となった。もうすぐ秋、山々の森が一気に紅葉に染まり、そして静かな冬がやってくる。あの、美しい流れも、岩魚達も、深い森もテンバもすっかり雪に覆われて静かに眠りにつくのだろう、今回も楽しい思い出をくれた山と渓に感謝しながら僕達は朝日を後にした。
6時に目が覚めると、友人はもうすでに起きていた。少し肌寒い気温に、そそくさとたき火の燃え残りに火をつけ深呼吸をする。山の朝は最高である。
朝食は簡単なパンなどで済ませると、もう誰もがそわそわとしだす。今日は、昨日釣った本流ではなく、途中から合流する支流に入ることとする。7時すぎ、すっかりと準備を整えテンバを出発する。
支流に入るとしばらくゴルジュが連続する。滝の落ち込み、だいぶ水深のある、普通ならとても水面の小さなフライには反応しないようなポイントで、早速友人が尺物を釣りあげる。今日も釣りは最高のスタートで始まった。
今日は、午後からもしかすると雨になるかもしれない予報だったが、朝方は薄日のさす気持ちの良い天候だ。しばらくアクロバティックなへつりを交えてゴルジュを突破すると、林間を流れる穏やかな渓相へとかわる。以前この沢に入った時は、尺物がかなり出たのだが、どうも今回は9寸止まりが多い。それでも、コンスタントに魚が出るので、釣りとしては満足だ。
昨日から、自分はアダムス・パラシュートをメインで結ぶ。魚の反応は文句なしである。友人は、大き目のライツロイヤルでやはりコンスタントに釣ってゆく。時折エルクヘアーカディスを使ってみるが、どうもこの渓では反応がいまいちである。
お昼まで釣り上がり、だいぶ水量も少なくなってきた。きれいな河原で昼食とする。めいめいにお湯を沸かしラーメンなどを作る。そして食べたらそのまま河原に寝転がる。最高の気分だ。
でも、天気予報があたるのか、見上げる空にそろそろ厚い雲が広がりだした。
午後、1時間ほど釣り上がると、源流方向の山にかかる雲がだいぶ暗くなってきた。釣りは、もう皆十分に満足していたので、速めにテンバへと戻ることにした。
1時間半ほどかけてテンバに戻ると、友人2人は夕食の刺身を釣りに行くと言って、また昨日の本流へと出かけて行った。小一時間もタープの下でうとうとしていたら、尺クラス3本を携えて友人が帰ってきた。今日は美味い刺身が味わえそうだ。
しかし、そうこうしているうちに、ポツリポツリと雨がタープをたたきだした。夕刻、しかたがないので、今日はタープの下で宴会を始める。それでも、友人が捌いてくれたイワナの刺身は最高だった。苦労して持ち込んだビールが進む。明日はまた山越えなので、酒も食料もどんどん消費する。飯盒でご飯を炊いてメインはカレー。昨晩の残りのおつまみなども消費したいたら、もうおなかは一杯である。
今日は、だいぶ睡眠時間も取っているので、夜になってもぜんぜん元気だ。しかし、先ほどから雨は本降り、川はまだ濁りは出ていないものの、明日の撤収と、最後の歩渡が心配になってくる。歩渡用のロープを持ってきているので、よほどのことがなければ大丈夫だろう。10時前には横になる。
雨は夜中降っていたようだ、川もだいぶ増水しているようで、流される大石が水中で不気味な音をたてている。雨はだいぶ落ち着いてきたので、明るくなると同時に撤収。朝食も済ませ、6時過ぎには早めにテンバを出発する。このころには川の水も減水傾向になって、すこし安心する。
帰路、まずは殺人的な登りをなんとかこなし、森の中の踏み跡を行く頃には、もう雨もほとんどあがってきた。最後の下りを一気に降りきり、いよいよ歩渡ポントへと辿り着くと、川はまだ結構な濁流である。それでも比較的渡りやすそうな場所で、まず私が先方でロープ歩渡すると、なんなく対岸へと渡ることが出来た。その後友人達も続き、無事車止めへと帰ることが出来た。
さて、今回の釣行は、最高の釣りと楽しい渓の宴会を満喫し、最後にちょっとアドベンチャーな経験もして、また心に残る釣り旅となった。もうすぐ秋、山々の森が一気に紅葉に染まり、そして静かな冬がやってくる。あの、美しい流れも、岩魚達も、深い森もテンバもすっかり雪に覆われて静かに眠りにつくのだろう、今回も楽しい思い出をくれた山と渓に感謝しながら僕達は朝日を後にした。
Posted by rivertalk at
15:05
Comments(0)
2013年10月04日
朝日連峰遠征1
6月は比較的雨の日が少なかったように記憶している。今年もまた空梅雨かと、早渇水の心配などをしていたのが、7月に入るや天候が不順になりだした。ことに新潟から山形にかけてや我々のホームフィールドとも言える朝日連峰あたりは、連日の雨。ここ関東では早々と梅雨も明け、晴れた日が続いているというのに、これはどうしたことか。
7月には、2度ほど新潟、山形方面への釣行も企画したのだが、やはり雨と増水にやられた。今年は、6月の源流泊釣行も台風で中止となっていて、いやはやどうにもまともな釣りが出来ない夏となってしまった。そうこうするうちに9月となり、すでに今シーズン最後の源流釣行を企画しているような始末であった。
さて、その9月に入っても台風が連続して発生したりと、なんとも心穏やかでない中、やっと天候も落ち着いてきた週末に、ほんとうに最後になってしまった朝日連峰へ源流泊の遠征に出かけた。今回も、釣友2人との3人のパーティーで、木曜の夜に出発。一気に高速で下越まで走る。真っ暗な林道を車止めに到着したのは深夜1時を回った頃でたあったが、車止めには先行者はなく、まずはほっと胸をなでおろす。
仮眠用にテントを張り、久しぶりの再会と釣行の無事を祈って乾杯する。仰ぎ見る空には満天の星が煌めき、どうやら今日は良い天気に恵まれそうだ。しばし歓談の後、3時間ほど仮眠する。
夜が明けきる前に目が覚めてしまい、ゆっくりと荷造りを始める。準備が整った頃にはすっかり夜も明けて、薄く靄がたちこめているものの、よい天気になりそうである。
朝一番に林道の横を流れる渓流を歩渡する。水位は平常より若干多い程度。しかし、今回このところの天候不順に備えて、帰路のもしもの増水に備えて20mロープ2本を用意してきた。川を渡ったところで森の中にデポする。
さて、ここからが本番の山越えだ。おおよそ400mほどの高低差のある稜線を越えて、向こう側に下ったところにある流れが今回の目的地だ。尾根伝いにかすかに続くゼンマイ道を辿ると、すぐに道は胸をつく急登となる。久しぶりに2泊分の装備を背負っての登りは実に堪える。登っては休み、登っては休みの繰り返し、少しずつ目線の高さに近いづいてくる反対側に連なる稜線に励まされながら、2時間弱でやっと稜線に辿りつく。
ここからは、比較的なだらかな踏み跡を進み、最後に目的の川へ、まるで谷底に落ちてゆくかのように一気に降りる。しかし、この稜線から見渡す山々の景色はいつ見ても素晴らしい。どこまでも広がる緑の海に心癒される。この渓を訪れるのは4年ぶりだなと思い、ふと前回の記憶が蘇る。下るにしたがい、だんだん川の瀬音が大きっくなてくると、日差しもどんどん強くなり、青空が広がってきた。釣り旅のはじまりとしては、最高の気分だ。
11時前にテンバに到着する。流れは少々水が多いが、釣りには問題ない程度だ。さっそくにタープを張り、テンバを設営する。昼食は持ってきたおにぎりなどで簡単に済ませると、もう誰もがいてもたってもいられず、早速に釣り開始である。
まずは、この川は初めての友人2人に先行してもらう。テンバのすぐ下の流れからキャストを始める友人。しばし、キャストするも反応なく、さすがにこあたりだと少しは渋いのかと思ったら、一番よさそうな落ち込みで出た。今日の初物なので、大事に取り込む友人のロッドは結構いい感じに曲がっている。ランディングしてみたら、尺上だった。
その後、交代で釣り上がる。やはり少し水が多いため、ポイントが若干限られるものの、出れば9寸以上。たまに尺上も混じる会心の釣りとなった。今年は、夏の天候不順のため、おそらくほとんど釣り人が入っていなかったのかと思う。どこまでも晴れ渡ったかのような青空の下、緑の森、花崗岩の白い渓、清冽な流れ、岩魚、もう今年あまりいい釣りが出来なかったことなどは、どこかに消え去っていた。
山越えの疲れもあるので、3時半まで釣り上がって、テンバへと戻った。
夕刻、テンバに戻ると、それぞれ分担して、マキ集め、夕食の下ごしらえをする。今日は天気も良いので、河原で宴会をすることにして、たき火を起こす。山に日が落ちて薄暗くなり始めたころ、ようやく準備も整いビールで乾杯する。一日酷使した体に最高の清涼感が漲る至福の瞬間だ。
夕食は鳥鍋、日没とともにぐっと気温も下がり、たき火に熱々の鍋は、源流では最高のごちそうだ。今日の山越えのこと、釣りのこと、話したいことはたくさんあるのだが、満腹感とともにものすごい睡魔が襲ってくる。なんとか9時までは頑張ろうといいつつ、宴会は続いた。
7月には、2度ほど新潟、山形方面への釣行も企画したのだが、やはり雨と増水にやられた。今年は、6月の源流泊釣行も台風で中止となっていて、いやはやどうにもまともな釣りが出来ない夏となってしまった。そうこうするうちに9月となり、すでに今シーズン最後の源流釣行を企画しているような始末であった。
さて、その9月に入っても台風が連続して発生したりと、なんとも心穏やかでない中、やっと天候も落ち着いてきた週末に、ほんとうに最後になってしまった朝日連峰へ源流泊の遠征に出かけた。今回も、釣友2人との3人のパーティーで、木曜の夜に出発。一気に高速で下越まで走る。真っ暗な林道を車止めに到着したのは深夜1時を回った頃でたあったが、車止めには先行者はなく、まずはほっと胸をなでおろす。
仮眠用にテントを張り、久しぶりの再会と釣行の無事を祈って乾杯する。仰ぎ見る空には満天の星が煌めき、どうやら今日は良い天気に恵まれそうだ。しばし歓談の後、3時間ほど仮眠する。
夜が明けきる前に目が覚めてしまい、ゆっくりと荷造りを始める。準備が整った頃にはすっかり夜も明けて、薄く靄がたちこめているものの、よい天気になりそうである。
朝一番に林道の横を流れる渓流を歩渡する。水位は平常より若干多い程度。しかし、今回このところの天候不順に備えて、帰路のもしもの増水に備えて20mロープ2本を用意してきた。川を渡ったところで森の中にデポする。
さて、ここからが本番の山越えだ。おおよそ400mほどの高低差のある稜線を越えて、向こう側に下ったところにある流れが今回の目的地だ。尾根伝いにかすかに続くゼンマイ道を辿ると、すぐに道は胸をつく急登となる。久しぶりに2泊分の装備を背負っての登りは実に堪える。登っては休み、登っては休みの繰り返し、少しずつ目線の高さに近いづいてくる反対側に連なる稜線に励まされながら、2時間弱でやっと稜線に辿りつく。
ここからは、比較的なだらかな踏み跡を進み、最後に目的の川へ、まるで谷底に落ちてゆくかのように一気に降りる。しかし、この稜線から見渡す山々の景色はいつ見ても素晴らしい。どこまでも広がる緑の海に心癒される。この渓を訪れるのは4年ぶりだなと思い、ふと前回の記憶が蘇る。下るにしたがい、だんだん川の瀬音が大きっくなてくると、日差しもどんどん強くなり、青空が広がってきた。釣り旅のはじまりとしては、最高の気分だ。
11時前にテンバに到着する。流れは少々水が多いが、釣りには問題ない程度だ。さっそくにタープを張り、テンバを設営する。昼食は持ってきたおにぎりなどで簡単に済ませると、もう誰もがいてもたってもいられず、早速に釣り開始である。
まずは、この川は初めての友人2人に先行してもらう。テンバのすぐ下の流れからキャストを始める友人。しばし、キャストするも反応なく、さすがにこあたりだと少しは渋いのかと思ったら、一番よさそうな落ち込みで出た。今日の初物なので、大事に取り込む友人のロッドは結構いい感じに曲がっている。ランディングしてみたら、尺上だった。
その後、交代で釣り上がる。やはり少し水が多いため、ポイントが若干限られるものの、出れば9寸以上。たまに尺上も混じる会心の釣りとなった。今年は、夏の天候不順のため、おそらくほとんど釣り人が入っていなかったのかと思う。どこまでも晴れ渡ったかのような青空の下、緑の森、花崗岩の白い渓、清冽な流れ、岩魚、もう今年あまりいい釣りが出来なかったことなどは、どこかに消え去っていた。
山越えの疲れもあるので、3時半まで釣り上がって、テンバへと戻った。
夕刻、テンバに戻ると、それぞれ分担して、マキ集め、夕食の下ごしらえをする。今日は天気も良いので、河原で宴会をすることにして、たき火を起こす。山に日が落ちて薄暗くなり始めたころ、ようやく準備も整いビールで乾杯する。一日酷使した体に最高の清涼感が漲る至福の瞬間だ。
夕食は鳥鍋、日没とともにぐっと気温も下がり、たき火に熱々の鍋は、源流では最高のごちそうだ。今日の山越えのこと、釣りのこと、話したいことはたくさんあるのだが、満腹感とともにものすごい睡魔が襲ってくる。なんとか9時までは頑張ろうといいつつ、宴会は続いた。
2013年07月14日
日光湯川
梅雨が明けると、待っていたかの様な猛暑の日々がやってきた。暑さから逃れたい一心で、友人たちと日光湯川へと出かけた。
朝方から遠くの山々に掛かっていた雲が少しづつ晴れて、日差しがのぞきだした頃、戦場ヶ原に到着した。車を降りると、さすがに標高1,400mの高原の空気は清々しく、下界の暑さを思うとまさに別天地にたどり着いた様な安堵感を感じた。
簡単に朝食を済ませ、釣りの準備を整えて、川へと歩く。この日は、上流側の湯滝から入渓する。朝一番の湯川はまだ釣り人も少なく、当然観光客は皆無だ。聞こえてくるのは川の流れの瀬音と野鳥のさえずりだけ。この時間の湯川がとても好きだ。ほんの早朝の一時、この川と森の本来の自然を垣間見ることが出来る。
釣りは、友人たちと代わる代わるポイントをシェアして、下流へと釣り下る。しかし、この日のブルック達は意外に気難しく、なかなかフライには反応しない。
少し、ポイントを飛ばして、あまり人が入らない様なエリアを探ると、少しずつ魚が反応をしだした。小ぶりだがきれいなブルック達が、小気味よくロッドティップをしならせる。
フライは、ミッジサイズから大き目のカディスなどをセレクトしたが、一番反応の良かったのがブルーダン・パラシュートの14番だった。
友人たちも、メイフライからカディスを使っていたが、今一つの反応だったようだ。
これからのシーズン、湯川でお薦めなパターンの一つが、大き目のヒゲナガ・パターン。たとえばCDCヒゲナガアダルトやマドラーミノー。フロータントをたっぷりと使い、水面をスケーティングさせる誘いに、日中からよく反応する。イメージとしては川岸のブッシュの下にフライを落として、流れを横切らせるようにスケーティングさせる。引く速さは、流れと同じくらいのスピードや時に早くがコツ。
日光湯川に行く機会があったら、ぜひ一度試してみてはいかがだろう。
CDCヒゲナガアダルト
マドラーミノー
朝方から遠くの山々に掛かっていた雲が少しづつ晴れて、日差しがのぞきだした頃、戦場ヶ原に到着した。車を降りると、さすがに標高1,400mの高原の空気は清々しく、下界の暑さを思うとまさに別天地にたどり着いた様な安堵感を感じた。
簡単に朝食を済ませ、釣りの準備を整えて、川へと歩く。この日は、上流側の湯滝から入渓する。朝一番の湯川はまだ釣り人も少なく、当然観光客は皆無だ。聞こえてくるのは川の流れの瀬音と野鳥のさえずりだけ。この時間の湯川がとても好きだ。ほんの早朝の一時、この川と森の本来の自然を垣間見ることが出来る。
釣りは、友人たちと代わる代わるポイントをシェアして、下流へと釣り下る。しかし、この日のブルック達は意外に気難しく、なかなかフライには反応しない。
少し、ポイントを飛ばして、あまり人が入らない様なエリアを探ると、少しずつ魚が反応をしだした。小ぶりだがきれいなブルック達が、小気味よくロッドティップをしならせる。
フライは、ミッジサイズから大き目のカディスなどをセレクトしたが、一番反応の良かったのがブルーダン・パラシュートの14番だった。
友人たちも、メイフライからカディスを使っていたが、今一つの反応だったようだ。
これからのシーズン、湯川でお薦めなパターンの一つが、大き目のヒゲナガ・パターン。たとえばCDCヒゲナガアダルトやマドラーミノー。フロータントをたっぷりと使い、水面をスケーティングさせる誘いに、日中からよく反応する。イメージとしては川岸のブッシュの下にフライを落として、流れを横切らせるようにスケーティングさせる。引く速さは、流れと同じくらいのスピードや時に早くがコツ。
日光湯川に行く機会があったら、ぜひ一度試してみてはいかがだろう。
CDCヒゲナガアダルト
マドラーミノー
2013年07月07日
山岳渓流へ
今年はやはり各地での降雪量が多かったとの話をよくきかされていましたが、ようやくユキシロも一段落とのたよりを聞いて南会津の源流へと出かけてみた。
今回の同行者は、テンカラのベテラン釣り師と最近フライを始めたばかりの友人。3人で前日の晩のうちに林道の車止めまで走る。幸い先行者はいない。長いドライブから解放され、車外に出て伸びをする。かなり寒い。それもそのはず、車止めのこの地点で、すでに標高は1,400メートルほど、明日はここからさらに高低差200メートルほどを釣り上がる予定だ。梅雨のまっただ中ではあるが、幸い天気はなんとか持ちそうな予報だ。
早速、仮眠用のテントを設営し、ブルーシートをひいて軽く入山祝いの乾杯。山に着いて、先行者もなし、あとは飲んで寝るだけ。この瞬間がたまらなく好きである。1時過ぎに横になる。沢のせせらぎが耳に心地よく眠りを誘う。
明るくなって一度目が覚めると、もうなかなか寝付けない。5時頃にはテントを抜け出し、山の空気を胸いっぱいに吸い込む。山の朝は最高である。
やがて2人も起きだして、早速に釣りの準備。簡単に朝食を済ませると、もう踏み跡程度になってしまった林道を登りだした。30分ほど歩いて、適当な場所から入渓。水量は、もうユキシロの影響はなく、最高の状態だ。
さて、さっそくにかわるがわる竿を出すが、イワナの方はなかなかに渋い。まだ、水温が低いのだろうかと水に手を浸すがそれほど冷たくもない。まあ、いかに源流域とはいえ、そこは激戦区の南会津、おそらく年間かなりの釣り人が入るのだろう。これはなかなかに厳しい釣りになるなと思う。
釣りの方は渋いのだけれど、渓相は最高に美しい。場所によっては階段状に続く小滝が、かなりの勾配で突き上げる。沢歩きをしているだけでも、楽しくなる。
やがて、少しづつだけれど、イワナも反応をしだす。水深のある岩陰から出たイワナにはまだサビが残っていた。
標高が1,500メートルを過ぎると河畔のネマガリ竹の群生にはまだ少しだけ筍が出ていた。お土産にちょっとだけポケットに頂く。
お昼前には、時折太陽も姿を見せだし、その都度渓は一気に明るくなる。ただ、イワナの反応は変らない。時計を見れば丁度12時。大休止として昼食をとる。
午後、もっと突っ込もうかとの気持ちもあったが、なにやら空模様も怪しくなりだした為、納竿とする。運よく見つけ出した踏み跡を辿り、車止めへと歩を進めた。
この日、渋いイワナの反応の中で、やっぱり安定感のある存在感を示してくれたのは、定番のマーチュブラウン・パラシュート。これからの山岳渓流でもお薦めのパターンだ。
マーチブラウン・パラシュート
岐路、車を運転しだして40分ほど、突然の大雨となる。一時は40キロ以上は出せないほどの、景色も見えなくなる降りとなる。あの源流で、この雨にあったらさぞたいへんであったろうという話にになった。やっぱりどんな時でも、天候の変化には気を付けて、山では少し臆病すぎるくらいがちょうどいいのだなと思った。
今回の同行者は、テンカラのベテラン釣り師と最近フライを始めたばかりの友人。3人で前日の晩のうちに林道の車止めまで走る。幸い先行者はいない。長いドライブから解放され、車外に出て伸びをする。かなり寒い。それもそのはず、車止めのこの地点で、すでに標高は1,400メートルほど、明日はここからさらに高低差200メートルほどを釣り上がる予定だ。梅雨のまっただ中ではあるが、幸い天気はなんとか持ちそうな予報だ。
早速、仮眠用のテントを設営し、ブルーシートをひいて軽く入山祝いの乾杯。山に着いて、先行者もなし、あとは飲んで寝るだけ。この瞬間がたまらなく好きである。1時過ぎに横になる。沢のせせらぎが耳に心地よく眠りを誘う。
明るくなって一度目が覚めると、もうなかなか寝付けない。5時頃にはテントを抜け出し、山の空気を胸いっぱいに吸い込む。山の朝は最高である。
やがて2人も起きだして、早速に釣りの準備。簡単に朝食を済ませると、もう踏み跡程度になってしまった林道を登りだした。30分ほど歩いて、適当な場所から入渓。水量は、もうユキシロの影響はなく、最高の状態だ。
さて、さっそくにかわるがわる竿を出すが、イワナの方はなかなかに渋い。まだ、水温が低いのだろうかと水に手を浸すがそれほど冷たくもない。まあ、いかに源流域とはいえ、そこは激戦区の南会津、おそらく年間かなりの釣り人が入るのだろう。これはなかなかに厳しい釣りになるなと思う。
釣りの方は渋いのだけれど、渓相は最高に美しい。場所によっては階段状に続く小滝が、かなりの勾配で突き上げる。沢歩きをしているだけでも、楽しくなる。
やがて、少しづつだけれど、イワナも反応をしだす。水深のある岩陰から出たイワナにはまだサビが残っていた。
標高が1,500メートルを過ぎると河畔のネマガリ竹の群生にはまだ少しだけ筍が出ていた。お土産にちょっとだけポケットに頂く。
お昼前には、時折太陽も姿を見せだし、その都度渓は一気に明るくなる。ただ、イワナの反応は変らない。時計を見れば丁度12時。大休止として昼食をとる。
午後、もっと突っ込もうかとの気持ちもあったが、なにやら空模様も怪しくなりだした為、納竿とする。運よく見つけ出した踏み跡を辿り、車止めへと歩を進めた。
この日、渋いイワナの反応の中で、やっぱり安定感のある存在感を示してくれたのは、定番のマーチュブラウン・パラシュート。これからの山岳渓流でもお薦めのパターンだ。
マーチブラウン・パラシュート
岐路、車を運転しだして40分ほど、突然の大雨となる。一時は40キロ以上は出せないほどの、景色も見えなくなる降りとなる。あの源流で、この雨にあったらさぞたいへんであったろうという話にになった。やっぱりどんな時でも、天候の変化には気を付けて、山では少し臆病すぎるくらいがちょうどいいのだなと思った。
2013年06月03日
初夏の渓にて
シーズン開幕からだいぶたってしまいましたが、今年はなにやら、仕事に、プライベートにバタバタして、あまり釣りには行けませんでした。
山々が目覚め、萌える新緑が釣り人の心をかきたてる5月後半の週末に、友人たちと今シーズン初の源流域へと釣行した。場所は北関東、福島との県境近くの源流。車止めから1時間強の歩きにて入渓ポイントへ。
都心からも比較的近いこのあたりの渓流では、盛期にはもうだいぶたくさんの釣り人が入り、魚もかなりシビアになってしまうが、毎年この時期は比較的おおらかに、流れの開きに定位して流下してくる餌を待つイワナ、ヤマメの姿が見られる。
もうだいぶ大型のメイフライのハッチも見られる時期なのだが、この日は先日来の寒さの為か、魚の姿も、ましてライズも見られず、とくに朝方は厳しい状況でした。
それでも、流れに日が差してくると、少しずつカワゲラのハッチが始まり、あまり水深の深くない、緩やかなな流れで、イワナの反応が出だした。まだ少しサビの残った様な魚体で、フライへの出方もゆったりとしている。
昼ごろまでに、一人数匹づつのイワナ、ヤマメを釣って、この日は納竿。使用したフライ・パターンでは、イエローサリー、アダムス・パラシュートなどの反応が良かった。
今年は、日本海側ではかなりの降雪があった為、有望河川ではまだユキシロが続きそうだ。東北の源流の開幕はもう少しというところだが、次は梅雨の晴れ間をねらって山形方面への釣行を考えている。
イエローサリー
山々が目覚め、萌える新緑が釣り人の心をかきたてる5月後半の週末に、友人たちと今シーズン初の源流域へと釣行した。場所は北関東、福島との県境近くの源流。車止めから1時間強の歩きにて入渓ポイントへ。
都心からも比較的近いこのあたりの渓流では、盛期にはもうだいぶたくさんの釣り人が入り、魚もかなりシビアになってしまうが、毎年この時期は比較的おおらかに、流れの開きに定位して流下してくる餌を待つイワナ、ヤマメの姿が見られる。
もうだいぶ大型のメイフライのハッチも見られる時期なのだが、この日は先日来の寒さの為か、魚の姿も、ましてライズも見られず、とくに朝方は厳しい状況でした。
それでも、流れに日が差してくると、少しずつカワゲラのハッチが始まり、あまり水深の深くない、緩やかなな流れで、イワナの反応が出だした。まだ少しサビの残った様な魚体で、フライへの出方もゆったりとしている。
昼ごろまでに、一人数匹づつのイワナ、ヤマメを釣って、この日は納竿。使用したフライ・パターンでは、イエローサリー、アダムス・パラシュートなどの反応が良かった。
今年は、日本海側ではかなりの降雪があった為、有望河川ではまだユキシロが続きそうだ。東北の源流の開幕はもう少しというところだが、次は梅雨の晴れ間をねらって山形方面への釣行を考えている。
イエローサリー
2012年11月04日
新作フライ・テスト2
前回の記事から少々時間が経ってしまいましたが、今日紹介するのは、SOLITUDE社の新タイヤー飯島氏のフライ、ダブルウィング・ストーンカディス。
その名の通り、ストーンフライとカディスの複合ハッチをターゲットにしたパターンなのだが、私の感覚だとストーンフライにより近いシルエットといったところだ。前回紹介のパラスピナー同様、こちらのフライも重なり合ったCDCウィングがリアルな羽を演出している。
CDCはそのままインジケーターとなっており、ヘンハックルと相まって視認性は最高。季節的にはシーズン初めのオナシカワゲラから、カディス、ストーンフライの盛期4~6月に最も威力を発揮しそうだが、エルクヘアーカディス同様、シーズンを通して反応がよさそうなフライに仕上がっている。
お薦めの使い方として飯島氏が推奨するのは、ハックルの下部をカットしてソラックス・パターンとして使用する方法。激流の流れでも抜群の安定感と視認性で活躍してくれそうだ。
今後の展開としては、カラバリエーションを増やして行く予定だそう。私自身も来シーズンの源流釣りでは是非使ってみたいパターンだ。
さて、そんな飯島氏のフライを当店でもいよいよ販売を開始。第一弾として前回紹介したパラスピナーCDCウィングとダブルウィング・ストーンカディスが入荷しました。管理釣り場でも上々の反応だったパターン、是非チェックしてみて下さい。
ダブルウィング・ストーンカディス
その名の通り、ストーンフライとカディスの複合ハッチをターゲットにしたパターンなのだが、私の感覚だとストーンフライにより近いシルエットといったところだ。前回紹介のパラスピナー同様、こちらのフライも重なり合ったCDCウィングがリアルな羽を演出している。
CDCはそのままインジケーターとなっており、ヘンハックルと相まって視認性は最高。季節的にはシーズン初めのオナシカワゲラから、カディス、ストーンフライの盛期4~6月に最も威力を発揮しそうだが、エルクヘアーカディス同様、シーズンを通して反応がよさそうなフライに仕上がっている。
お薦めの使い方として飯島氏が推奨するのは、ハックルの下部をカットしてソラックス・パターンとして使用する方法。激流の流れでも抜群の安定感と視認性で活躍してくれそうだ。
今後の展開としては、カラバリエーションを増やして行く予定だそう。私自身も来シーズンの源流釣りでは是非使ってみたいパターンだ。
さて、そんな飯島氏のフライを当店でもいよいよ販売を開始。第一弾として前回紹介したパラスピナーCDCウィングとダブルウィング・ストーンカディスが入荷しました。管理釣り場でも上々の反応だったパターン、是非チェックしてみて下さい。
ダブルウィング・ストーンカディス
2012年10月24日
新作フライ・テストへ
渓流のレギュラー・シーズンも静かに終わりを告げ、例年この時期からは、近郊の管理釣り場などへフライのテストなどを兼ねて足を運ぶ。先週末も、気持ちよく晴れ渡った土曜日、来シーズンへ向けての新作フライのテストへと出かけた。
ただ、今回のテストはいつもとは違い、かなり思い入れの入ったものだった。この日手にして行ったのは、ショップで販売している米国の大手メーカーSOLITUDE社から届いた6パターンの新作フライなのだが、じつはこれ全て2013年シーズンからの販売で同社に正式採用された私の友人のタイヤーのフライなのだ。
今年の初め、SOLITUDE社の営業担当から、日本人でオリジナルのパターンを持ってるいいタイヤーがいたら紹介して欲しいとの話があり、一も二も無くその友人を紹介した。彼はまだ、日本での露出はほとんどないのだが、中学生の頃からタイイングを始め、地元のショップなどにもフライを卸していた経験もあり、なによりそのタイイング技術は私の知るかぎりではずば抜けて素晴らしい逸材。
この春、6パターンの試作品を米国に送り、なんと全て採用となった。米国では、この秋から販売を開始。ようやく私の手元にもサンプル・フライが届いたという訳だ。
今日、紹介するのは、パラスピナーCDCウィングという、パラシュートにウィングを付けるというかつてない発想のもとに作られたパターン。CDCのウィングはトラウトから見た時にリアルは羽に見える様に取り付けられている。もともと安定感の高いパラシュートフライにCDCウィングがスタビライザーの役割を果たし更に安定性を高めている。CDCのポストはプレッシャー軽減を考慮して短めにカットしている。
パラスピナーは浮力、視認性、リアリティーが全て揃っているフライなので、とても使いやすく、国内でもマッチングザハッチのキラーパターンになるだろう。
カラーはフタバコカゲロウなどを意識したPMD、赤茶系のルーファス、コカゲロウやマダラカゲロウを意識したBWOの3カラーとなっている。
で、肝心のテストですが、サンプルフライということで、まだフライのシルエットが友人のオリジナルに比べCDCウィングが大きすぎるなどの若干の問題はあったものの、良好な状態を確認。
視認性の良さ、その安定感は素晴らしく、ながれの速い渓流、落差のある源流域でもとても活躍をしてくれそうなパターン。管理釣り場トラウト達の反応もたいへん良いものでした。
パラスピナーCDCウィング・ルーファス
さて、この新作フライは、近日中にショップの方でも販売開始致しますので、ぜひお試し下さい。
次回は、別パターンのダブルウィング・ストーンカディスを紹介します。
ただ、今回のテストはいつもとは違い、かなり思い入れの入ったものだった。この日手にして行ったのは、ショップで販売している米国の大手メーカーSOLITUDE社から届いた6パターンの新作フライなのだが、じつはこれ全て2013年シーズンからの販売で同社に正式採用された私の友人のタイヤーのフライなのだ。
今年の初め、SOLITUDE社の営業担当から、日本人でオリジナルのパターンを持ってるいいタイヤーがいたら紹介して欲しいとの話があり、一も二も無くその友人を紹介した。彼はまだ、日本での露出はほとんどないのだが、中学生の頃からタイイングを始め、地元のショップなどにもフライを卸していた経験もあり、なによりそのタイイング技術は私の知るかぎりではずば抜けて素晴らしい逸材。
この春、6パターンの試作品を米国に送り、なんと全て採用となった。米国では、この秋から販売を開始。ようやく私の手元にもサンプル・フライが届いたという訳だ。
今日、紹介するのは、パラスピナーCDCウィングという、パラシュートにウィングを付けるというかつてない発想のもとに作られたパターン。CDCのウィングはトラウトから見た時にリアルは羽に見える様に取り付けられている。もともと安定感の高いパラシュートフライにCDCウィングがスタビライザーの役割を果たし更に安定性を高めている。CDCのポストはプレッシャー軽減を考慮して短めにカットしている。
パラスピナーは浮力、視認性、リアリティーが全て揃っているフライなので、とても使いやすく、国内でもマッチングザハッチのキラーパターンになるだろう。
カラーはフタバコカゲロウなどを意識したPMD、赤茶系のルーファス、コカゲロウやマダラカゲロウを意識したBWOの3カラーとなっている。
で、肝心のテストですが、サンプルフライということで、まだフライのシルエットが友人のオリジナルに比べCDCウィングが大きすぎるなどの若干の問題はあったものの、良好な状態を確認。
視認性の良さ、その安定感は素晴らしく、ながれの速い渓流、落差のある源流域でもとても活躍をしてくれそうなパターン。管理釣り場トラウト達の反応もたいへん良いものでした。
パラスピナーCDCウィング・ルーファス
さて、この新作フライは、近日中にショップの方でも販売開始致しますので、ぜひお試し下さい。
次回は、別パターンのダブルウィング・ストーンカディスを紹介します。
2012年10月02日
朝日源流行2
朝日の源流2日目。前日の山越えと釣り、限界まで頑張った宴会の疲れからなかなか起き上がれず、ようやく7時半ごろにシュラフカバーから這い出す。友人達も次々と起きてきて、ゆっくりと朝食をとる。お天気は今日もとてもよさそうだ。渓から見上げる空には雲ひとつ見あたらなかった。
さて、残念ながら友人のうち一人は今日帰らなければならない。今日は2人で魚止めの滝を目指す。9時過ぎ、あとかたずけを始めた友人と別れを告げ、上流へと向かう。約1時間、昨日釣ったところはすべて通過して、竿を出す。
このあたりは、ゴルジュっぽい渓相で、深場が続き、大物の雰囲気は満点なのだが、どうも昨日、今日とこういったポイントには魚がついていないようだ。思い切って歩を進め、再び渓が開けた場所から釣り始めた。案の定、今日の岩魚は瀬や明るい流れに出ているようで、ここからはとてもいい反応を見せだした。
そして、やはりなんといっても明るい開けた渓での釣りは気持ちがいい。流れのかどを曲がる度に、めくるめく変化してゆく渓の景色、ときおりその雄姿を見せる朝日の山々を背景にロッドを振る友人は、まるで一幅の絵画の中を釣っているかのようだった。
幾つもの枝沢の流れ込みを通過する度、次第に川幅も狭まり、水量も減ってくる。そしてそれらに反比例するかのようにだんだんと岩魚の型は良くなってきた。
昼食を取り、河原で昼寝をする。さすがに今日は体力も残っているようだった。
午後はいよいよ魚止めの滝へと、少し遡行のペースを上げるが、幾つめかの滝壺で明らかに尺を越える大物が定位しているのを見つける。都合の良く斜め下流に横たわっていいる倒木の陰からアプローチ。岩魚へは5~6メートルの距離までストーキングする。アダムスパラシュート12番。最も信頼するフライのひとつを、岩魚の斜め上流1.5メートルにやさしく着水させる。直ぐにフライに気付いた岩魚は、何の迷いも無く、ゆっくりとフライを咥えて反転、その刹那、素早く合わせたロッドに乗った大岩魚の重量感溢れる引き、この世の憂さも何もかもすべて忘れる最高の瞬間だ。
尺一寸。この美しい大自然の中で出会えた、今年の山釣りでの最高の一匹だと思った。
このあと、幾つかの滝を越えて、辿りついた魚止めの滝は、渇水のため二条の滝が一条になっていた。それでも滝壺は大物の気配が濃厚、最後のポイントは友人に譲る。何度かのブラインドのキャストの後、エメラルドグリーンの淵から躍り出た岩魚は、またも尺一寸だった。
今年も、シーズンの最後に本当に素晴らしい釣りを満喫できた。もう本当に十分に満足させて貰った。ここまで付き合ってくれた友人達と山の自然に感謝しながら、テンバまでの長い帰路についた。少し傾き始めた陽の光が西日となって水面を眩しく照らしていた。
さて、残念ながら友人のうち一人は今日帰らなければならない。今日は2人で魚止めの滝を目指す。9時過ぎ、あとかたずけを始めた友人と別れを告げ、上流へと向かう。約1時間、昨日釣ったところはすべて通過して、竿を出す。
このあたりは、ゴルジュっぽい渓相で、深場が続き、大物の雰囲気は満点なのだが、どうも昨日、今日とこういったポイントには魚がついていないようだ。思い切って歩を進め、再び渓が開けた場所から釣り始めた。案の定、今日の岩魚は瀬や明るい流れに出ているようで、ここからはとてもいい反応を見せだした。
そして、やはりなんといっても明るい開けた渓での釣りは気持ちがいい。流れのかどを曲がる度に、めくるめく変化してゆく渓の景色、ときおりその雄姿を見せる朝日の山々を背景にロッドを振る友人は、まるで一幅の絵画の中を釣っているかのようだった。
幾つもの枝沢の流れ込みを通過する度、次第に川幅も狭まり、水量も減ってくる。そしてそれらに反比例するかのようにだんだんと岩魚の型は良くなってきた。
昼食を取り、河原で昼寝をする。さすがに今日は体力も残っているようだった。
午後はいよいよ魚止めの滝へと、少し遡行のペースを上げるが、幾つめかの滝壺で明らかに尺を越える大物が定位しているのを見つける。都合の良く斜め下流に横たわっていいる倒木の陰からアプローチ。岩魚へは5~6メートルの距離までストーキングする。アダムスパラシュート12番。最も信頼するフライのひとつを、岩魚の斜め上流1.5メートルにやさしく着水させる。直ぐにフライに気付いた岩魚は、何の迷いも無く、ゆっくりとフライを咥えて反転、その刹那、素早く合わせたロッドに乗った大岩魚の重量感溢れる引き、この世の憂さも何もかもすべて忘れる最高の瞬間だ。
尺一寸。この美しい大自然の中で出会えた、今年の山釣りでの最高の一匹だと思った。
このあと、幾つかの滝を越えて、辿りついた魚止めの滝は、渇水のため二条の滝が一条になっていた。それでも滝壺は大物の気配が濃厚、最後のポイントは友人に譲る。何度かのブラインドのキャストの後、エメラルドグリーンの淵から躍り出た岩魚は、またも尺一寸だった。
今年も、シーズンの最後に本当に素晴らしい釣りを満喫できた。もう本当に十分に満足させて貰った。ここまで付き合ってくれた友人達と山の自然に感謝しながら、テンバまでの長い帰路についた。少し傾き始めた陽の光が西日となって水面を眩しく照らしていた。
2012年09月27日
朝日源流行1
今年は、なにかと都合が悪く、なかなか源流泊の釣りから足が遠のいていた。シーズンも終わりが見えてきた9月も半ば、これではいかんということで友人2人と朝日連峰の川へと出かけた。
夜のうちに車止めへと走り、軽くビールで乾杯、夜が明けるまで3時間ほどの睡眠をとる。夜明けとともにパッキングを済ませ、山越えへの踏み跡へと歩を進めた。稜線への登りに差し掛かると、なまりきった体が悲鳴を上げる。それでも流れる汗とともに次第に体も動くようになった頃稜線へと辿りついた。
ザックを降ろして一休み、遥下界を遠望すると麓の村の方角には見事な雲海が広がっていた。稜線の反対側には朝日連峰の雄姿が快晴の空の下に連なり僕たちを迎えてくれていた。
ここからはしばらく稜線を歩く。よく踏まれてはいるのだが、山ツツジなど低木に足を取られながらの痩せ尾根歩きはけっこう体力を消耗する。
しばらく歩くと、無事川へと下る踏み跡を発見、それなりにきつい下りであるが、次第に大きくなる川の瀬音に勇気づけられ一気に川へと降りたった。川づたいにしばらく歩くと第1のテンバなのだが、先行者のブルーシートが張られている。昨晩、別の山越えルート下に駐車車両があったので、もしやと思っていたのだが、予感が的中してしまったようだ。
あいさつを交わすと、なんと今日撤収して帰るとのこと。2泊していたそうだが、2日とも雨でほとんど釣り上がっていないとのこと。なんだか気の毒になってしまった。昼には撤収するのでテンバはここを使えばとも言ってくれ、それではと甘えさせて頂く。
しばし休憩の後、昼食を持って釣りへと出かけた。川はやはり渇水であったが、フライであれば釣れないことはない程度だった。テンバからいくらも進まない場所で、今回源流泊初参加の友人がさっそく9寸クラスの岩魚を釣りあげた。
そこからは交互に釣り上がると、岩魚達もコンスタントに9寸サイズがフライに答えてくれた。ここまでくると9月のこの時期でも岩魚達はセレクティブではなく、カディス、メイフライ、テレストリアルとどんなパターンにでも、素直に、ゆっくりと反応してくれた。やはり源流はこううでなくてはと、友人達と顔をほころばせながら遡行する。
天気にも味方され、お昼近くには真夏の日差しとなった。真っ青な空に、まだ真夏の勢いを感じさせる森の緑がいっそう鮮やかに感じられた。
渓の木陰で昼食をとり、少しの時間横になる。至福の時間だ。気がつくと15分ほど眠っていたようだ。
午後は、2時頃まで釣りを楽しみ、納竿とする。ここから先の核心部は明日の楽しみだ。上流へ来るほど岩魚の反応も良くなり、サイズも大きくなっていたので、明日が楽しみだ。
先行の方々がすかりきれいにされたテンバにタープを張り寝床を確保。各自、薪集め、夕食の下ごしらえとテキパキと動く。テンバ前の流れで一日の汗を流し、明るいうちからまずはビールで乾杯、山の宴会をスタートさせる。
焚き火で作る焼き物のおつまみ、すこし寒さを感じる頃にはメインのちゃんこ鍋に舌鼓を打った。それぞれの釣りの思い出話、近況報告にあっと言う間に時間は過ぎ、睡眠不足と山越えの疲れから、9時過ぎには全員トランス状態に。そろそろ休むこととする。
明日は、魚止めの滝を目指す。
夜のうちに車止めへと走り、軽くビールで乾杯、夜が明けるまで3時間ほどの睡眠をとる。夜明けとともにパッキングを済ませ、山越えへの踏み跡へと歩を進めた。稜線への登りに差し掛かると、なまりきった体が悲鳴を上げる。それでも流れる汗とともに次第に体も動くようになった頃稜線へと辿りついた。
ザックを降ろして一休み、遥下界を遠望すると麓の村の方角には見事な雲海が広がっていた。稜線の反対側には朝日連峰の雄姿が快晴の空の下に連なり僕たちを迎えてくれていた。
ここからはしばらく稜線を歩く。よく踏まれてはいるのだが、山ツツジなど低木に足を取られながらの痩せ尾根歩きはけっこう体力を消耗する。
しばらく歩くと、無事川へと下る踏み跡を発見、それなりにきつい下りであるが、次第に大きくなる川の瀬音に勇気づけられ一気に川へと降りたった。川づたいにしばらく歩くと第1のテンバなのだが、先行者のブルーシートが張られている。昨晩、別の山越えルート下に駐車車両があったので、もしやと思っていたのだが、予感が的中してしまったようだ。
あいさつを交わすと、なんと今日撤収して帰るとのこと。2泊していたそうだが、2日とも雨でほとんど釣り上がっていないとのこと。なんだか気の毒になってしまった。昼には撤収するのでテンバはここを使えばとも言ってくれ、それではと甘えさせて頂く。
しばし休憩の後、昼食を持って釣りへと出かけた。川はやはり渇水であったが、フライであれば釣れないことはない程度だった。テンバからいくらも進まない場所で、今回源流泊初参加の友人がさっそく9寸クラスの岩魚を釣りあげた。
そこからは交互に釣り上がると、岩魚達もコンスタントに9寸サイズがフライに答えてくれた。ここまでくると9月のこの時期でも岩魚達はセレクティブではなく、カディス、メイフライ、テレストリアルとどんなパターンにでも、素直に、ゆっくりと反応してくれた。やはり源流はこううでなくてはと、友人達と顔をほころばせながら遡行する。
天気にも味方され、お昼近くには真夏の日差しとなった。真っ青な空に、まだ真夏の勢いを感じさせる森の緑がいっそう鮮やかに感じられた。
渓の木陰で昼食をとり、少しの時間横になる。至福の時間だ。気がつくと15分ほど眠っていたようだ。
午後は、2時頃まで釣りを楽しみ、納竿とする。ここから先の核心部は明日の楽しみだ。上流へ来るほど岩魚の反応も良くなり、サイズも大きくなっていたので、明日が楽しみだ。
先行の方々がすかりきれいにされたテンバにタープを張り寝床を確保。各自、薪集め、夕食の下ごしらえとテキパキと動く。テンバ前の流れで一日の汗を流し、明るいうちからまずはビールで乾杯、山の宴会をスタートさせる。
焚き火で作る焼き物のおつまみ、すこし寒さを感じる頃にはメインのちゃんこ鍋に舌鼓を打った。それぞれの釣りの思い出話、近況報告にあっと言う間に時間は過ぎ、睡眠不足と山越えの疲れから、9時過ぎには全員トランス状態に。そろそろ休むこととする。
明日は、魚止めの滝を目指す。
Posted by rivertalk at
13:42
Comments(0)
2012年08月21日
夏の定番
毎年お盆休み明けのこの時期には福島の桧枝岐村に通っている。涼を求めての週末1泊のキャンプ釣行といったことが多い。
かつては秘境の村とも呼ばれ、日本最後の職漁師たちが活躍した山村。岩魚も溢れるほどいた時代も今は昔、最近では首都圏からのアクセスもよくなり、シーズンを通してかなりの釣り人達が訪れる。岩魚達も当然かなり釣りずらくなっているのが現状だが、山と自然に囲まれたそのロケーションの美しさに、やはり今年も足を運んだ。
さて、釣りの方は桧枝岐川の支流のひとつに入渓する。長い林道をずいぶん走り、さらに車止めから歩く。かなりの源流域、美しい山岳渓流の流れ、しかしこんな奥地の岩魚達でも意外に手厳しい。
友人と2人で交代で釣り上がるのだが、パイロット・フライのエルクヘアー・カディスや大ぶりのメイフライ・パラシュートだと、反応はするものの、Uターン、時には口先でつついておしまい。完全にフライを見切っている。
夏の山岳渓流でのこんなシチュエーションに、私が定番としているのがロイヤル・コーチマンかロイヤル・コーチマン・パラシュートだ。
アント系のフライもとてもよいのだが、なぜかやはりピーコックのきらめくこのフライに軍配が上がる。
この日も、なかなかに気難しい岩魚達も、14番のロイヤル・コーチマン・パラシュートには比較的よくバイトをしてくれた。そこそこによいサイズも混じり、十分満足な釣りを楽しめた。
昼近くには、ずいぶん標高も高い源流域まで釣り上がった。「ずいぶん来たなあ。」そう思ってなにげなく見上げた空は、もう少しだけ秋の気配を漂わせていた。
ロイヤル・コーチマン・パラシュート
かつては秘境の村とも呼ばれ、日本最後の職漁師たちが活躍した山村。岩魚も溢れるほどいた時代も今は昔、最近では首都圏からのアクセスもよくなり、シーズンを通してかなりの釣り人達が訪れる。岩魚達も当然かなり釣りずらくなっているのが現状だが、山と自然に囲まれたそのロケーションの美しさに、やはり今年も足を運んだ。
さて、釣りの方は桧枝岐川の支流のひとつに入渓する。長い林道をずいぶん走り、さらに車止めから歩く。かなりの源流域、美しい山岳渓流の流れ、しかしこんな奥地の岩魚達でも意外に手厳しい。
友人と2人で交代で釣り上がるのだが、パイロット・フライのエルクヘアー・カディスや大ぶりのメイフライ・パラシュートだと、反応はするものの、Uターン、時には口先でつついておしまい。完全にフライを見切っている。
夏の山岳渓流でのこんなシチュエーションに、私が定番としているのがロイヤル・コーチマンかロイヤル・コーチマン・パラシュートだ。
アント系のフライもとてもよいのだが、なぜかやはりピーコックのきらめくこのフライに軍配が上がる。
この日も、なかなかに気難しい岩魚達も、14番のロイヤル・コーチマン・パラシュートには比較的よくバイトをしてくれた。そこそこによいサイズも混じり、十分満足な釣りを楽しめた。
昼近くには、ずいぶん標高も高い源流域まで釣り上がった。「ずいぶん来たなあ。」そう思ってなにげなく見上げた空は、もう少しだけ秋の気配を漂わせていた。
ロイヤル・コーチマン・パラシュート
2012年07月24日
ユキシロにメゲズ
お久しぶりです。テスターのナカムラです。
先日、長野県白馬の姫川水系松川へキャンプ釣行してまいりました。しかし天候はあいにくの雨。
川を渡るたびに全員、首を伸ばしてコンディションをチェック。
あちゃ~・・とか、
ここならなんとかいけるかな~・・
と、小さな落胆と希望的観測の繰り返し。私たち4名が最初に降り立ったのは野営地の脇を流れ、雪代で青白く濁る、松川上流部でした。
ちょろっと手を突っ込んで、「あちゃ~」の一言。
冷たい、冷たすぎる。しかも、この水量。雨だけならまだしも、それに雪代が加わったことで、川には生命感が1ミリも感じられない状態・・。
でも、釣りたい。
だって、この日のために仕事を調整し、カミさんに気を遣ってきたのだから。
せめて1匹。
・・・・・・・・・・。
いや、やっぱりたくさん釣りたい。
こんな時のセオリーは、
●岸に近い緩流帯をドライやニンフで丹念に探る。
渓魚だって餌を食べなきゃ死んでしまうわけですから、きちんと狙えば必ず釣れるはず。そう己を奮い立たせて私たちは川へと向かいました。
相棒のE氏はドライ派なので先行していただき、先行者のプレッシャーが殆ど影響しないニンフで私が後から釣り上がるというふうにしました。私を気遣ってくれる優しいE氏に対し、「大丈夫っすよ、後からでも関係なく釣れますから」とうそぶく私。
豪語したものの、釣れなかったらどうしよう・・そんな時の言い訳を考えながらスタートしました。
私が最初に結んだのはヘアーズイアニンフのナチュラルカラー。雪代の重い流れにも負けないよう、20センチ上方にタングステンの粘土状のウェイトをつけておきます。
数投後、魚体がチラリ。
案の定、緩流帯の筋で反応がありました。
ニンフで狙う場合、そこに魚がいることが分かりさえすれば、もう釣れたようなものです。
あとは、
いかに自然に魚の目の前を流すか。
ただ、それが一番難しいのですけどね ^^;
ドライフライと違い、「深さ」が加わるため、狙う層をトレースするのが難しい!キャスト後、少しだけロッドティップを持ち上げる感じにすることでフライ先行で着水させ、その後、数回のフリップで深度を調整していきます。
出るかな?
そう思った瞬間、マーカーがすっと引き込まれました。反射的にアワセると、ゴゴゴっ!とい手応えが!
青白い流れから姿を見せたのは、24センチの綺麗なイワナでした。
納得の出方に満足し、次に試すのはビーズヘッドニンフ、フェザントテイル。
今回はヘアーズイアが圧勝でしたが、私の中でのキラーローテーションは、ヘアーズイアから始まる3フライ&3サイズが基本。大体の場合、#16~#12で色は濃淡2色揃っていれば何とかなるものです。
今年は雪が多かったようで、各所で雪代に悩まされるという話を聞いています。川を見て、あちゃ~と諦めるのではなく、ここはいっそ普段あまり使わないニンフの練習と割り切って遊んでみてはいかがでしょうか。
追伸
ニンフのアタリはマーカーでとるのが基本です。
特にヤーン製のものは感度が良いのでお薦めですよ。
ヘアーズイヤー・ナチュラル
ビーズヘッド・フェザントテイル
先日、長野県白馬の姫川水系松川へキャンプ釣行してまいりました。しかし天候はあいにくの雨。
川を渡るたびに全員、首を伸ばしてコンディションをチェック。
あちゃ~・・とか、
ここならなんとかいけるかな~・・
と、小さな落胆と希望的観測の繰り返し。私たち4名が最初に降り立ったのは野営地の脇を流れ、雪代で青白く濁る、松川上流部でした。
ちょろっと手を突っ込んで、「あちゃ~」の一言。
冷たい、冷たすぎる。しかも、この水量。雨だけならまだしも、それに雪代が加わったことで、川には生命感が1ミリも感じられない状態・・。
でも、釣りたい。
だって、この日のために仕事を調整し、カミさんに気を遣ってきたのだから。
せめて1匹。
・・・・・・・・・・。
いや、やっぱりたくさん釣りたい。
こんな時のセオリーは、
●岸に近い緩流帯をドライやニンフで丹念に探る。
渓魚だって餌を食べなきゃ死んでしまうわけですから、きちんと狙えば必ず釣れるはず。そう己を奮い立たせて私たちは川へと向かいました。
相棒のE氏はドライ派なので先行していただき、先行者のプレッシャーが殆ど影響しないニンフで私が後から釣り上がるというふうにしました。私を気遣ってくれる優しいE氏に対し、「大丈夫っすよ、後からでも関係なく釣れますから」とうそぶく私。
豪語したものの、釣れなかったらどうしよう・・そんな時の言い訳を考えながらスタートしました。
私が最初に結んだのはヘアーズイアニンフのナチュラルカラー。雪代の重い流れにも負けないよう、20センチ上方にタングステンの粘土状のウェイトをつけておきます。
数投後、魚体がチラリ。
案の定、緩流帯の筋で反応がありました。
ニンフで狙う場合、そこに魚がいることが分かりさえすれば、もう釣れたようなものです。
あとは、
いかに自然に魚の目の前を流すか。
ただ、それが一番難しいのですけどね ^^;
ドライフライと違い、「深さ」が加わるため、狙う層をトレースするのが難しい!キャスト後、少しだけロッドティップを持ち上げる感じにすることでフライ先行で着水させ、その後、数回のフリップで深度を調整していきます。
出るかな?
そう思った瞬間、マーカーがすっと引き込まれました。反射的にアワセると、ゴゴゴっ!とい手応えが!
青白い流れから姿を見せたのは、24センチの綺麗なイワナでした。
納得の出方に満足し、次に試すのはビーズヘッドニンフ、フェザントテイル。
今回はヘアーズイアが圧勝でしたが、私の中でのキラーローテーションは、ヘアーズイアから始まる3フライ&3サイズが基本。大体の場合、#16~#12で色は濃淡2色揃っていれば何とかなるものです。
今年は雪が多かったようで、各所で雪代に悩まされるという話を聞いています。川を見て、あちゃ~と諦めるのではなく、ここはいっそ普段あまり使わないニンフの練習と割り切って遊んでみてはいかがでしょうか。
追伸
ニンフのアタリはマーカーでとるのが基本です。
特にヤーン製のものは感度が良いのでお薦めですよ。
ヘアーズイヤー・ナチュラル
ビーズヘッド・フェザントテイル
Posted by rivertalk at
16:54
Comments(0)
2012年07月02日
テンカラ釣り
梅雨の晴れ間と言うが、今年も局地的な大雨や季節外れの台風などが上陸する割には、全体空梅雨なのではないかと思う。6月の終わり、そんな好天の中、知人のテンカラ師と山形方面へと出かけた。
2、3日前に結構まとまった雨が降った後ではあったが、源流に近い渓の流れはまったくの平水で、毛バリの釣りには絶好のコンディションであった。
同行の知人は長年テンカラで馴らした渓の大先輩であるが、ここ最近は当店の完成フライもテスターよろしく使ってくれている。この日も、エルクヘアーカディスやアダムスパラシュートを結んでの釣りを楽しんでおられた。
私も、時々地元の川ではテンカラで釣ることがある。やはり日本古来の長尺竿で味わう魚の引き味は素晴らしいものがある。いつの日にか、今は本当に見なくなった竹製のテンカラ竿を手に入れて釣り歩いたらなどと思ってみたりすることもある。
さて、我々が歩いた区間は、運よくしばらく釣り人が入っていなかった様子で、ここぞというポイントではかならずと言っていいほど8寸、9寸のいいサイズの岩魚が顔を出してくれた。そして、その度にテンカラ竿は見事な弧を描き、知人は実に気持ちよさそうに岩魚を釣りあげてゆく。
次回は私もテンカラ竿を忍ばせて出かけてみようかと思った。
2、3日前に結構まとまった雨が降った後ではあったが、源流に近い渓の流れはまったくの平水で、毛バリの釣りには絶好のコンディションであった。
同行の知人は長年テンカラで馴らした渓の大先輩であるが、ここ最近は当店の完成フライもテスターよろしく使ってくれている。この日も、エルクヘアーカディスやアダムスパラシュートを結んでの釣りを楽しんでおられた。
私も、時々地元の川ではテンカラで釣ることがある。やはり日本古来の長尺竿で味わう魚の引き味は素晴らしいものがある。いつの日にか、今は本当に見なくなった竹製のテンカラ竿を手に入れて釣り歩いたらなどと思ってみたりすることもある。
さて、我々が歩いた区間は、運よくしばらく釣り人が入っていなかった様子で、ここぞというポイントではかならずと言っていいほど8寸、9寸のいいサイズの岩魚が顔を出してくれた。そして、その度にテンカラ竿は見事な弧を描き、知人は実に気持ちよさそうに岩魚を釣りあげてゆく。
次回は私もテンカラ竿を忍ばせて出かけてみようかと思った。
2012年05月28日
今年最初の源流へ
週末の1日、今年最初の南東北の源流へと足を伸ばした。日帰りの強行軍と久しぶりの歩きでかなり疲れたが、素晴らしい流れと無垢な岩魚達に癒された釣行となった。
ようやくユキシロこそおさまったものの、朝一番の流れはかなり冷たく、岩魚達の活性もあまりよろしくはなかった。それでも、まだほとんど釣り人の入っていないこの時期だけあって、落ち込みからのひらきには数匹の岩魚達が定位している。
友人達と交互に釣り上がるのだが、どうも岩魚達の反応が鈍い。それではとフライをアダムス・パラシュートの#14に結び変えると、それまでとはかわって明らかに反応が良くなる。結局釣友達も皆アダムス・パラシュートに結び変え、そこからはストレスのない快進撃が始まった。
アダムス・パラシュートは日本の渓流では、実に信頼のおけるパターンだ。またその強度、視認性も素晴らしく、私にとってはマーチブラウン・パラシュートと共になくてはならないパイロットフライだ。
陽が高くなり、渓いっぱいに陽光が降り注ぐ時間帯になると、遡行をしていても汗ばむほどの気温となった。岩魚達の活性もだいぶあがり、様々なパターンに反応するようになる。
新緑の渓の向こうには、もう夏の空が広がっていた。
アダムス・パラシュート
ようやくユキシロこそおさまったものの、朝一番の流れはかなり冷たく、岩魚達の活性もあまりよろしくはなかった。それでも、まだほとんど釣り人の入っていないこの時期だけあって、落ち込みからのひらきには数匹の岩魚達が定位している。
友人達と交互に釣り上がるのだが、どうも岩魚達の反応が鈍い。それではとフライをアダムス・パラシュートの#14に結び変えると、それまでとはかわって明らかに反応が良くなる。結局釣友達も皆アダムス・パラシュートに結び変え、そこからはストレスのない快進撃が始まった。
アダムス・パラシュートは日本の渓流では、実に信頼のおけるパターンだ。またその強度、視認性も素晴らしく、私にとってはマーチブラウン・パラシュートと共になくてはならないパイロットフライだ。
陽が高くなり、渓いっぱいに陽光が降り注ぐ時間帯になると、遡行をしていても汗ばむほどの気温となった。岩魚達の活性もだいぶあがり、様々なパターンに反応するようになる。
新緑の渓の向こうには、もう夏の空が広がっていた。
アダムス・パラシュート
2012年05月03日
ブルーダン・パラシュート
渓に降り注ぐ陽射しも日一日とその強さを増してくるこの季節。先週末も地元の渓流では暖かな陽気の中たくさんのメイフライのハッチとあちらこちらの流れの淀みではさかんにライズをくりかえすヤマメたちが見られた。
春先から初夏のこんな日に好んで使われるフライにブルーダンがある。そのオリジナル・パターンは、古くは17世紀、チャールズ・コットンによる「釣魚大全第Ⅱ集」にも紹介されている由緒正しきフライだ。当時はボディーのダビング材は、黒のグレイハウンドの首筋の柔毛を梳いて使ったという。
最近では、このオリジナル・パターンよりも、パラシュート・パターンのブルーダンがより多く使われていると思われる。グレー一色のいたってシンプルなフライだが、ハックルの半透明な質感はより繊細にハッチしたばかりのメイフライを演出しているように思える。
また強度の高いパラシュート・パターンはかなりの数の魚とのフッキングとファイトにも耐えてくれる。
この日、半日の釣りはブルーダン・パラシュートで結構な数のヤマメたちとのやり取りを楽むことが出来た。
春先から初夏に使われると前述したが、ちなみに私はシーズンを通して、アダムスやマーチブラウンのパラシュートと同様の感覚で使っている。
ブルーダン・パラシュート
春先から初夏のこんな日に好んで使われるフライにブルーダンがある。そのオリジナル・パターンは、古くは17世紀、チャールズ・コットンによる「釣魚大全第Ⅱ集」にも紹介されている由緒正しきフライだ。当時はボディーのダビング材は、黒のグレイハウンドの首筋の柔毛を梳いて使ったという。
最近では、このオリジナル・パターンよりも、パラシュート・パターンのブルーダンがより多く使われていると思われる。グレー一色のいたってシンプルなフライだが、ハックルの半透明な質感はより繊細にハッチしたばかりのメイフライを演出しているように思える。
また強度の高いパラシュート・パターンはかなりの数の魚とのフッキングとファイトにも耐えてくれる。
この日、半日の釣りはブルーダン・パラシュートで結構な数のヤマメたちとのやり取りを楽むことが出来た。
春先から初夏に使われると前述したが、ちなみに私はシーズンを通して、アダムスやマーチブラウンのパラシュートと同様の感覚で使っている。
ブルーダン・パラシュート
2012年04月23日
桜ヤマメ
先週末は、フライのテストを兼ねて、地元の渓流に足を運んだ。
例年であれば、そろそろ新緑の若葉が渓間ににうっすらと広がり、日当たりの良い南側の斜面のところどころを山桜の花が淡い薄紅色に染め始める頃なのだが、今年は、冬が長く、寒かった影響で、木々の芽吹きも普通の年より1、2週間は遅いようだ。北茨城のなだらかな山々が連なるこの辺りでも、ようやく木の芽が開きかけている状態だった。
さて、川辺に降り立つと、今日は曇り空の下、寒くも無く、暖かくも無くといったあいまいな天気で、メイフライのハッチも無い。今日は、先だって新入荷したボブ・ブルックスのアップライトーオーガンザPMDスピナー#14をテストして見る。アメリカ生まれのフライだが、細身のシルエットは、日本の渓魚にも好まれそうな繊細なパターンだ。
2、3箇所目のポイントで早速反応がある。小ぶりながらきれいなヤマメだ。その後もコンスタントにバイトがあり、十分にフライの実力を確認出来た。オーガンザの控えめなインジケーターは、光線によっては見ずらいこともあるが、盛期以降のスレた魚には効果的なのではと感じた。
その後、フライを定番のPMDソラックス#14にかえる。こちらのフライも上々の反応。魚の活性が高くまだ警戒心の低いこの時期、視認性にストレスの無いこのタイプのフライは初心者にもお薦めだ。
3時間ほどの釣りを楽しんで納竿。渓でお弁当を食べて帰途についた。
帰り道、麓の村ではまだ桜が見ごろであった。
もう少しすると、渓間のあちこちに山桜が咲く。ヤマメを求めて渓を遡行していると、どこからともなく山桜の花弁が風にのって散り落ちる季節。桜とヤマメ釣りは僕にとっての風物詩だ。
PMDソラックス
アップライトオーガンザPMDスピナー
例年であれば、そろそろ新緑の若葉が渓間ににうっすらと広がり、日当たりの良い南側の斜面のところどころを山桜の花が淡い薄紅色に染め始める頃なのだが、今年は、冬が長く、寒かった影響で、木々の芽吹きも普通の年より1、2週間は遅いようだ。北茨城のなだらかな山々が連なるこの辺りでも、ようやく木の芽が開きかけている状態だった。
さて、川辺に降り立つと、今日は曇り空の下、寒くも無く、暖かくも無くといったあいまいな天気で、メイフライのハッチも無い。今日は、先だって新入荷したボブ・ブルックスのアップライトーオーガンザPMDスピナー#14をテストして見る。アメリカ生まれのフライだが、細身のシルエットは、日本の渓魚にも好まれそうな繊細なパターンだ。
2、3箇所目のポイントで早速反応がある。小ぶりながらきれいなヤマメだ。その後もコンスタントにバイトがあり、十分にフライの実力を確認出来た。オーガンザの控えめなインジケーターは、光線によっては見ずらいこともあるが、盛期以降のスレた魚には効果的なのではと感じた。
その後、フライを定番のPMDソラックス#14にかえる。こちらのフライも上々の反応。魚の活性が高くまだ警戒心の低いこの時期、視認性にストレスの無いこのタイプのフライは初心者にもお薦めだ。
3時間ほどの釣りを楽しんで納竿。渓でお弁当を食べて帰途についた。
帰り道、麓の村ではまだ桜が見ごろであった。
もう少しすると、渓間のあちこちに山桜が咲く。ヤマメを求めて渓を遡行していると、どこからともなく山桜の花弁が風にのって散り落ちる季節。桜とヤマメ釣りは僕にとっての風物詩だ。
PMDソラックス
アップライトオーガンザPMDスピナー
2012年04月09日
解禁釣行
地元の渓流は4月1日が解禁日なので、例年3月は一足早くに解禁する栃木の渓流に1、2度は足を伸ばしている。
ところが今年、北関東の各地の渓流でヤマメなどから新基準値を越えるセシウムが出たということで、解禁が延期となっている。たいへん残念な思いといやな気分が交互に気持ちの中に去来するようだった。結局、栃木に釣りには行けなかった。そうこうするうちに地元の渓流でも2河川で解禁が延期になった。
釣りという行為が、その最終目的として魚を食するということがすべてではないということはもはや周知の事実かと思う。キャッチ&リリースを前提に解禁を認めてほしいという声も少なくない。私もまぎれもなくその一人で、先日電子署名をさせて頂いた。
心地の良い穏やかな日差しの日、まだ冬枯れの渓谷の流れに立って、一匹の山女を釣り上げて、「ああもう春が来ているな」と感じることくらい許されてしかるべきではと思う。
週末に友人と地元の小渓流へ出かけた。山はぜんたいまだ冬の様相であったが、道端のフキノトウやキラキラと流れに反射する陽の光に、すこしずつ春に移り変わってゆく季節が見てとれた。
友人と交互に沢を遡りながら竿を出した。地元の川では解禁当初から14番くらいのメイフライパターンでいい釣りが出来る。クリアな流れにそっとフライをキャストすると、小ぶりながらきれいな天然のヤマメがまだ少しゆっくりとフライを咥え、小気味の良い引きがロッドに伝わる。
まだ風が吹くと寒さが身にしみるような渓で、今年もかわらない元気なヤマメ達に出会えた。
ところが今年、北関東の各地の渓流でヤマメなどから新基準値を越えるセシウムが出たということで、解禁が延期となっている。たいへん残念な思いといやな気分が交互に気持ちの中に去来するようだった。結局、栃木に釣りには行けなかった。そうこうするうちに地元の渓流でも2河川で解禁が延期になった。
釣りという行為が、その最終目的として魚を食するということがすべてではないということはもはや周知の事実かと思う。キャッチ&リリースを前提に解禁を認めてほしいという声も少なくない。私もまぎれもなくその一人で、先日電子署名をさせて頂いた。
心地の良い穏やかな日差しの日、まだ冬枯れの渓谷の流れに立って、一匹の山女を釣り上げて、「ああもう春が来ているな」と感じることくらい許されてしかるべきではと思う。
週末に友人と地元の小渓流へ出かけた。山はぜんたいまだ冬の様相であったが、道端のフキノトウやキラキラと流れに反射する陽の光に、すこしずつ春に移り変わってゆく季節が見てとれた。
友人と交互に沢を遡りながら竿を出した。地元の川では解禁当初から14番くらいのメイフライパターンでいい釣りが出来る。クリアな流れにそっとフライをキャストすると、小ぶりながらきれいな天然のヤマメがまだ少しゆっくりとフライを咥え、小気味の良い引きがロッドに伝わる。
まだ風が吹くと寒さが身にしみるような渓で、今年もかわらない元気なヤマメ達に出会えた。